BOOK
ゲーム研究の第一人者、ミゲル・シカールによる「プレイ・マターズ」の邦訳が発売された。物、空間、人間、人間関係など多様な事柄が関わる「遊びの生態系」全体の観点から遊びをとらえていく壮大な思想書である。翻訳も非常に質が高いのでお勧め。そういえ…
古いデザイン書を読んでいたら興味深かったのでメモ。 ____________ このような容易につくられるというすぐれたシンボルのもつ物質的属性をポスターに利用しようとしたのは、杉浦康平と粟津潔であった。彼らは原水爆禁止協議会から、その運動の…
先月に読んだ見田宗介「現代社会はどこに向かうか」(2018)に、ハッとさせられたのでメモ。 人類は地球に住み、それは球という閉域である。その有限な環境下で繁栄している生物種として、生命曲線(個体数)は「ロジスティック曲線」を免れることはできない。…
科研費のプロジェクトで、情報デザインの教育者に向けた小冊子「すべての人がデザインを学ぶ時代に向けて」を制作した。A4変形の全88Pで、講演録と教材5点を濃縮して収録している。日本語タイトル、そして英タイトルの「Toward an Age When All People Do De…
何年か前に買った「老子」の思想についての解説書を本棚から取り出してみた。そういえばこの本を買ったのは、僕がデザインにおける姿勢/態度を説明するときに時々使う「柔よく剛を制す」という言葉が、日本発祥ではなくて、老子の思想だということを知ったた…
Motion Galleryのアップデートに書いたのを転載したものです。 ____________ 来週の入稿に向けて、ブックデザインが急ピッチで進んでいます。特色をアクセントに使った表紙のビジュアルは、渡辺先生が亡くなられた6月の星空と星座がモチーフにな…
本棚の整理をしていて「UTOPIA 最後の世界大戦」の復刻版をみつけた。オリジナルは1958年で、これは2011年に復刻された際に購入したもの。 藤子不二雄の単行本デビュー作品として知られ、多くの逸話を持つ「UTOPIA 最後の世界大戦」。原本は世界に10数冊しか…
motion-gallery.net ここ数ヶ月ほどまわりの方々の力をお借りしつつ初めてのクラウドファンディングに挑戦している。故・渡辺保史さんの遺稿をオンデマンド出版するというプロジェクトで、渡辺さんと生前関係のあった方を中心に資金があつまり、なんとか当初…
子供が借りてきた藤子・F・不二雄全集「どらえもん」をパラパラ見ていたら、あとがきのページでふと目が止まった。 のび太に起きる困難に対してドラえもんがヒョイと便利な道具を出すのが教育的に好ましくない、という批判に対してF氏が反論したもの。とても…
ベルギーのGenkにあるLUCA School of Artsを拠点にしたDementia Lab(認知症研究所)のブックレット"The role of Design vol. 1"が公開されたので紹介。この研究所に関わっている各国の研究者のアクティビティとリフレクションをまとめたもので、全56Pが無料…
先日,ACTANTの南部さんと話している際,昭和初期の民藝運動と近年のデザインの民主化の潮流との関係の話になった.その時彼から薦められた鞍田先生(明治大)の本が面白かったので,ちょっとメモ. ______ 民俗学と民藝の関係というのは,たいへん興…
最近,デンマークに留学している学生達のブログを見つけることがある.日々新鮮な気づきを書いているのを読むと,自分もいろいろ思い出して懐かしい気持ちになってしまう.そんなわけで,彼らに向けて,僕がデンマークにいる時に読んでおけば良かったなぁ,…
先日開催されたデザイン学会の「デザイン研究の記述」研究会で,デザインにおける態度の議論になった際,加藤先生(慶応SFC)が「今和次郎は観察して記録を残す際に,同時に態度のことも詳細に記述しているんだよ」ということを教えてくださった.今和次郎が残…
イギリスで今年の2月に出版された『Designing for Service』の翻訳出版をめざすクラウドファンディングのプロジェクトが動いているようだ.この本はServDesというサービスデザインを研究している欧州の研究コミュニティが中心になってまとめたもので,いわゆ…
最近,嶋田厚さんの評論が面白くて古本を買い集めて読んでいる.この「現代デザインを学ぶ人のために」は,嶋田氏による編集で1996年に世界思想社から出版されたデザインの入門書.僕はこの頃大学院生で,この本のタイトルは知ってはいたが,表紙からして古…
多くの人が知る"リフレクション"という言葉の理論的背景となった,ドナルド・ショーンによる記念碑的名著,The Reflective Practitioner. 邦訳としては「専門家の知恵-反省的実践家は行為しながら考える」(2001)が知られているが,この本は部分訳だったの…
春に頂いた本シリーズNo.2. 「市民参加の話し合いを考える」村田和代 編 (2017.4.3発売).共著者の福元和人さんからご恵投頂きました.ありがとうございます. 本書は,龍谷大学の地域公共人材・政策開発リサーチセンターの研究成果で,「話し合い学をつく…
新刊「ラーニングフルエイジングとは何か—超高齢化社会における学びの可能性」,編著者の森さんからご恵投いただきました.ありがとうございます. 本のコンセプトは, 死ぬまで学び続け成長する存在として高齢者を位置づけ、高齢者特有の学習課題に焦点を当…
幸せはいつもちょっと先にあるー期待と妄想の心理学 ダニエル・ギルバート 早川書房 2007−−−−−−−−(引用)人間は、コントロールへの情熱をもってこの世に生まれ、持ったままこの世から去っていく。生まれてから去るまでのあいだにコントロールする能力を失う…
ルポ トランプ王国―もう一つのアメリカを行く (岩波新書) 熱狂的なトランプ支持者はアメリカの都市部ではなく、地方都市にいる。どんな人々がトランプを支持しているのか、どんな期待を抱いているのかについて、統計からは見えてこないリアリティのある声が…
横浜コミュニティラボのMさんのfbで知った小冊子。この「良くしようとするのはやめたほうがいい」という、ギクリとさせられるタイトルだけで読みたくなって取り寄せてみた。我々は深く考えることもなく「よくする」という言葉を使いがちだ。内容は横浜寿町の…
かのブックディレクター・幅允孝氏による企画監修ということで楽しみにしていた「デザイン イズ デッド(?)」を読了。このタイトルには、やはりエンブレム問題が大きな影を落としていて、クエスチョンマークにはデザイン行為をシニカルに語るようになってしま…
パートナーとして関わっているACTANTは、ロンドン芸大セントマーチンズの大学院でNarrative Environmentsという先進的な専攻を修了したデザイナーが3人もいるという非常に珍しいメンバー構成であり、いろいろ話しを聞いているうちに僕の中にもナラティブへ…
「ソーシャリー・エンゲイジド・アート入門」フィルムアート社(2015)より。 原点の題名は、Education for Socially Engaged Art: A Materials and Techniques handbook (2011) 著者の多くの実践経験を元に、ソーシャリー・エンゲイジド・アートの光と影を…