Kamihira_log at 10636

みえないものを、みる視点。

遠い約束を果たす

休暇をもらってしばらく鹿児島に滞在してきました。

故郷の阿久根市には50歳になった年に、母校の小学校の運動会に参加して子どもたちとリレー競走するという独特の行事があります。昭和26年に始まり、なんと今年で69回目。

もちろん自分たちの子供の頃にも当たり前にプログラムにあって、親世代が参加して子供たち以上に盛り上がっているのが運動会の風景のデフォルトでした。僕もいつのまにかそんな年になったというわけです。腹の出たおじさんたちが妙にハイテンションで観客に愛想を振りまくのを、「ああはなるまい」と冷めた目で見ていた昔の自分に、まさにそういう姿になってしまったことを報告したいと思います。

で、当日夜の打ち上げも楽しく過ぎたあとに
、ちょっと考えてみました。地元出身者でないとわからない感覚ですが、このイベント、成人式なみに大事にされている行事なのです。地域で共有されている「通過儀礼」と言ってもいい。昔はなんと参加率9割もあったらしく、コロナ禍でも6割は正直すごい。なぜそこまでしてどの世代も、全国からこの行事に合わせて帰ってくるのだろうか。

ずっと謎だったのですが、終わってみて、ふと、親友たちとの「約束」だったんだなぁ、と気づきました。小学校は卒業するけど、またきっといつか、この校庭に集まっていっしょに走ろう。お互いボロボロの中年になってるだろうけど、それまで全力疾走できる健康な身体でいようぜ、と。

 

時折、同窓会で会うたびに、そうして中年になる日を想像してきたのでした。そんな遠い約束を共有していたからこそ、38年後にみんな、なんとか忙しい仕事の都合つけて校庭に戻ってきたのでしょう。無事に再会できて、みんなでバトンをつないで走れたことに、そしてギリギリ廃校にならずに残っている母校と我々を追い越して走っていく子どもたちがまだ存在していることに、感謝以外の言葉が見つかりません。再び離れ離れになってしまった今では、まるでひとときの夢の中の出来事だったような気もします。

もちろん、全力疾走できたものの、子供たちには圧倒的敗北。全員から太り過ぎを指摘されたので、来年からダイエットしようと思います!