Kamihira_log at 10636

みえないものを、みる視点。

ストーリーテリング/ナラティブ

上書きされていく記憶と,されない記憶

帰省した折に,実家近くに古民家をリノベーションしたゲストハウスがオープンしたという噂を聞いてちょっと見に行ってみた.目的地に着くと,我々この地域の小学校に通った者は忘れられない思い出の「角のたばこ屋」が,とても上品な家に生まれ変わっている…

タイムスリップしたような温泉体験

帰省した時に実家近くの温泉に行ってみた.旅館併設のキレイなところではなく,いちばん鄙びた地元民向けの「共同湯」を目指す.写真のとおり,ここは昭和の香りがそのまま今でも残っている. 共同湯の内部は木造だ.こういう本気の昭和感は都会ではもうなか…

探しあぐねている言葉

先日クリーニングデイに参加して「アップサイクル」という言葉を遅まきながら知ったわけだが,これは再び素材にする通常のリサイクルにも大きく二つの方向性があるという考え方のようだ. 1)ダウンサイクル=価値を下げて再び使う(例:タオルから雑巾) …

〈読書メモ〉良くしようとするのはやめたほうがいい

横浜コミュニティラボのMさんのfbで知った小冊子。この「良くしようとするのはやめたほうがいい」という、ギクリとさせられるタイトルだけで読みたくなって取り寄せてみた。我々は深く考えることもなく「よくする」という言葉を使いがちだ。内容は横浜寿町の…

〈読書メモ〉ナラティブ・アプローチ

パートナーとして関わっているACTANTは、ロンドン芸大セントマーチンズの大学院でNarrative Environmentsという先進的な専攻を修了したデザイナーが3人もいるという非常に珍しいメンバー構成であり、いろいろ話しを聞いているうちに僕の中にもナラティブへ…

言葉を使わないストーリーテリング:ハンブルクのミニチュアワンダーランド

ハンブルクでの目的のひとつ、ミニチュアワンダーランド。ここを訪問した大人達がみな鼻息を荒くして「本当にすごい」「うん、マジですごい」と興奮した感想を語り合っているので、子ども達を連れて行くふりをして実は僕が楽しみにしていた。事前にネットで…

語りにくいものを"遊び"化する

先日,エグモントホイスコーレンに行った際に紹介してもらったゲーム.デンマーク語なのでなにかは分からないが,ちゃんと大きな箱に入っていて一見普通に市販されているボードゲームに見えるだろう.実はこれ,社会性に障害のある人達のための「性教育のた…

こどものドローイングからリアルな建築へ

www.dezeen.com デザイン&建築関係のメディアdezeenで,数日前の記事が面白かった.コペンハーゲンの建築事務所のCOBEがこどものドローイングをもとに幼稚園を設計したという話. "We have worked to create a simple expression, as a caricature of how a…

継続的な信頼関係をつくること

1月12日(月)午後.あいかわらず天気悪い日が続くが,Give&Takeのリビングラボのお手伝いでフレゼリクスベアにある老人ホームへ行く.デンマークの老人ホームには初めて訪問したが,立派な建物だ.こういうところまで洗練されているとは思わなかった. お年…

「思い入れのある人形」をつくる過程

先日立ち寄ったBuild A Bear Workshopというぬいぐるみ屋.アメリカ発で日本にも数軒のショップがあるらしいが, この辺のカルチャーに疎いせいで知らなかった.簡単に言えばカスタマイズできるぬいぐるみを販売しているお店だが,一連の制作体験を通して自…

クリスマスツリーを手に入れた

12月20(日),妻の友人がオススメしていたとのことで,郊外にある農場で開催されているクリスマスマーケットまで家族で行ってみた.いろんなトラブルを乗り越えつつ,田園地帯にある農場まで到達する. 確かに小綺麗な都会のマーケットとはだいぶ雰囲気が違…

我が家にニッセがやってきた:北欧式クリスマス体験

12月17日の夜. こどもたちの幼稚園のイベントとして,「ニッセ」という人形が家にやってきた. 1)ニッセという北欧独自の妖精の人形が,2)毎晩,もちまわりで各家庭を周る,3)それぞれの家でニッセと子供が過ごした一晩の経験を,4)親がドキュメン…

もの作りカルチャーとしてのクリスマス

12月の時期のクリスマスマーケットは,ベルリンも華やかだったが.コペンハーゲンも負けてない.街のあちこちに小さなお店が建ち並び,みんな楽しそうに買い物している.日本に居るときは「みんな浮かれやがって」と思っていたけど.ヨーロッパのみなさんは…

「壁」を越えて見えてくるもの

ベルリンが壁に囲まれた街であることを知ったのは中学か高校の時だっただろうか.ちょうどその頃,冷戦が終わり東側の国が激動しているというニュースをよくやっていたが,世界情勢にまったく関心がなかったせいでなぜ現代の街に壁があるのかすらよく分かっ…

日本人は悲劇好き?

アントワープ大聖堂の前の広場にある石碑には日本語で文章が書かれている.日本のコンテンツについての,日本人による(トヨタの寄贈),日本人観光客のための石碑だ. フランダースの犬は日本人の我々の世代では国民的物語だが,当のベルギーでは全く人気な…

もう一つの視点から出来事を読む

スイスに行ったときに知った話が印象深かったのでメモ.ルツェルンという街にあるライオンのモニュメントは.フランス革命の際にルイ16世やマリーアントワネットなどの王族を守るために,命を落とした大勢のスイス傭兵達をモチーフにしているという.フラン…

【LOUISIANA #1】好奇心は育てるもの:建築&都市デザインのワークショップ

友人のArki_labのみなさんがルイジアナ現代美術館からハウスアーティストとして任命され、プロジェクトを企画しているとのこと。デモクラティックなアプローチを得意とする彼ららしく、地域の具体的な問題解決に取り組みながらも、地元の4つの学校と連携し…

手間暇かけることでうまれる価値:スウェーデン・ルンド大学の「TOMORROW COLLECTIVE」展より

8月8日(土)、スウェーデンのmalmoに家族で遊びに行った。malmoはスウェーデン南端の街で、コペンハーゲン中央駅から電車で30分。隣国と言うより隣街感覚である。偶然立ち寄ったギャラリーで、ルンド大学のプロダクトデザイン専攻修士課程の学生達の発表会…

車椅子+電動自転車=新感覚パーソナルモビリティ

船で同乗した方が、大変興味深い乗り物に乗っていた。車椅子に接続することができるアドオン型の電動自転車。興奮していろいろ話を聞いたところ、許可を頂いたので掲載。Batec Mobilityというスペインのメーカーの製品のようだ。 コンセプトもピクトグラムで…

路面蒸気機関車・モリー鉄道に乗った

ドイツのバルネミュンデに寄港した際に、隣町のバード・ドベラーンまで出かけてみた。ここには世界的に珍しい、なんと路面を走るSLが現存しているという。僕は鉄ヲタではないがそれでも珍しいものに対する好奇心は押さえられない。ご覧のように上品な商店街…

looking for my son

休日の午後、子供をつれて近所の砂浜を散歩。日本はだんだん夏日に近づいているようだが、北欧はまだまだ肌寒く、ちょっと天気悪いとダウンジャケットが要る。 いつでもbellevue beachにこれるというのはなかなか幸せなところではある。天気の良い春には、芝…

Someone's Tomb

先日、Esbenと一緒に電車で帰宅途中、僕らのOrdrup駅で降りた際、彼がとんでもなく貴重な場所に連れて行ってくれた。 駅に近い、とある墓地。地元の金持ちが立派な墓を構える中、外れの方の木陰にそれはあった。ぽつりと生えた小さな松の木の根本付近に2つ…

Before I die...

ちょっと用事があって事務室に向かっている途中に見つけた、壁一面の黒板。 これは「Before I die..」という有名な参加型アートプロジェクトが元ネタ。それを改変して「この大学を去る前に何をしたいか」という個人個人の願いが書き込まれている。デンマーク…