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みえないものを、みる視点。

【オンライン授業】一斉送信と少人数ダイアローグを両立させる試み

後期授業が始まった。結局コロナ禍はおさまることなく、後期も演習科目以外はオンラインということになる。僕は演習科目多いので週に3つは対面授業があるのだが、これがまたなかなか辛い・・・。学生が楽しそうにしているのは何より嬉しいけども、みんな顔覆っていて表情がわからない。近寄れない。マスクでしゃべると苦しい。なのでオンラインのほうがよほど気楽だとも思う。

 

というわけで、後期の講義もオンラインで新しい実験を続けている。前期の経験から、学生たちがもっともストレスを感じているのは、授業内容がプアになったことではなく、学生同士のコミュニケーションが奪われ、横のつながりがなくなってしまったことだ、と知った。たしかに、頑張って喋ってるのは先生だけだ。一日中授業受けていても、学生たちは一言も喋らないことだってざらにある。ここは確かに配分を変えていく必要がある。

 

真面目な先生は一生懸命教えようとしていると思うが、多分学びに大事なことは、同じ目線にいる者同士の「分かち合い」なんだろう。普段スライドを元に話しているような対面講義の内容は、わざわざ一緒に同期してやらなくても動画で空き時間に視聴すれば十分な気もする。後期は、多少のグダグダが発生するにしても、学生たちが少人数で対話する機会を最優先で確保することを念頭においてみようと思う。

 

少人数の対話(短時間)には、以下の点からDiscordが向いている。

・「会議室のURLどこだっけ?」とならない。サーバーに一回入れば、あとはアドレス不要

・チャットにコメントや画像投稿を残しておけることで、事後的にどんな発言があったかを全員がざざっと共有できる

・ワンクリックで部屋を移動できる

・音質が良い

 

しかし、このツールの欠点として、小部屋に入ったら外から一斉指示(ブロードキャスト)ができないことがあった。会話に夢中になってしまうと全体掲示板になにか指示書いてもなかなか気づかない。そうするとSAが「終わりだよー!ホールに戻ってー!」とか、呼びに行くことになる。

 

そこで、Google meetと併用してみた。大学がG suiteで契約しているからという理由だけで、別にzoomでもいいと思う。meetでメインの進行を進めつつ、Discordで個別に話す、というかたちだ。音声がどうなるのか心配だったが、履修生たちに聞いてみたところ、同時に入ったままで問題なく両方聞けるらしい。学生はみんなmacスマホもっているので、たとえばDiscordはスマホで入れば負荷分散にもなる。

 

グラフィックデザインの初回の講義の構成を図にしてみた。

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この日は、ガイダンスと、ウォーミングアップの発想トレーニング。work1とwork2は、簡単な発想力を競うゲーム(「ぐるぐる検索○と□」)。それぞれただ発想するだけでなく、それぞれの頭を使って書いたワークシートをDiscordのグループに投稿して、メンバーにシェア。対話を通して自分の頭脳のクセを知り、上手い人からコツを学び、どうすればもっとパフォーマンスがでるのかを対話する。

 

kmhr.hatenablog.com

work3は、カタルタ(#18エモーション)をつかって、
即興ストーリーをつくるもの。

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これが学生たちの間ではかなり盛り上がっていた。(僕は一定時間で画像を投稿するだけで、まったく喋ってないことがポイント)。テキストボードにストーリーの概要や感想コメントを書かせることで、履修生全員が簡単に共有できる。課題の投稿や共有はオンラインのほうが遥かに簡単だ。

 

たくさん頭使って喋れてあっという間に90分過ぎた、とみんな言ってくれた。

というわけで、一斉送信と少人数ダイアローグを両立させる試みは意外と行けそうだ、という感触を得た。次回からはみんながやってきた課題を元にみんなで共有し、自分の取り組みはどうだったか、どうすればもっとよくなるかの省察とともに考えていくことが中心になる。ここのところマンネリ気味だったので、新しい課題もどんどん試してみようと思う。挑戦はつづく。