Kamihira_log at 10636

みえないものを、みる視点。

ぐるぐる検索ワークシート(30circles改)

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30circle頭脳活性化のための30circlesのワークシートをつくりました。人力で脳内を検索するという意味で、google検索パロディの「ぐるぐる検索」というネーミングにしています。ここにアップしておきますので、自由に印刷してお使いください。

(3/20のUX dub vol.3のワークショップ参加者向けですが、検索でみつけやすいようにここで公開しておきます)

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手順

1)A4用紙(1枚目)
 に5×6列の丸があります。

2)Powered by のあとに自分のなまえを入れましょう。

3)丸から連想する図像を順に
書き加えていってください。(例:りんご)

 図の下にちいさく名称も書いてください。

4)「バリエーション」は禁止。
(例:りんごとあおりんご)

5)制限時間 5分(300秒)=10秒に1つかければ全部埋められる計算

6)グループで結果をシェアしてみましょう。検索結果は,それぞれで違うはずです.
 何が,どのようなプロセスで描かれているか,観察してみましょう.

7)描かれている図像の個数は「イメージ生産の流暢さ」を表します。
図形の多様性は、「見方の切り替えの多さ」を表します。

たくさん出る人は,何が違うのでしょうか?
パフォーマンスのよい人に「秘訣」を聞いてみましょう。

8)AIならとてつもないスピードと多様性で検索してくれるでしょう。わざわざ「人力」で必死で出力する意味はなんでしょうか?その意味を考えてみましょう。

 

このあとにさまざまな解説がつきますが、ここでは略。

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(以前のブログのアーカイブより過去記事を発掘)

30circles:想像することの流暢さと柔軟さを計測する実験
04/26/2008 11:00:28

30circlesという発想力トレーニングがある。まず準備として、A4程度の紙に5×6列の30個の円(500円玉ぐらい)をフリーハンドで描いておき、そこに「よーい、ドン」で丸に関連する図像(野球のボールとかリンゴとか)を自由に書き込んでいく。複数にまたがるのも可(メガネとか信号とか)。しかし、「りんごとあおりんご」のように似たバリエーションを延々続けて数を水増しするのはなるべくやめて、図像のチェンジを繰り返していこうと指示を加える。


制限時間は5分。10秒に一つのペースで書いていけば制限時間内に全部埋まる計算だが、実際やってみるとこれがなかなかそうはいかない。言われさえすれば丸いものなんて山ほどあるのに、似たようなもの(コインやら顔やら)が続いたり、焦れば焦るほど出なくなったり・・・。2年生向けの講義のオリエンテーション時にちょくちょくやっているが、専修大の学生で平均15〜20個程度。(速い学生でたまに30個埋まるのがいるが、5分あっても10個行かないのも結構居る。いかに普段そういう方面に頭を使ってないかだな(苦笑)。実はこのトレーニングはその人の頭の中からイメージがどのくらい流暢で多様に湧き出すかを計測するテストでもあるのだが、ちなみに、最初はうまくいかない人も、訓練をつむことで(テーマ変えても)スコアを伸ばすことができるようになるといわれている。体験を通して、臨機応変にアイデアを生むためには、次々と展開を切り替えられるような頭の中の回路そのものが大事であることに気付く、というわけである。

 

このトレーニングの出典は、スタンフォード大学独自のデザイン教育の源流のひとつでもある伝説的な名著「experiences in Visual thinking」(Robert H.Mckim ,1972)ロバート・マッキムらによる創造的な能力を開発していくための各種トレーニング手法が紹介されているが、この原典を読むと、人間をシステムがサポートするような21世紀の様子とは違って、アナログに人間の内部のパフォーマンスを上げていこうとする思想がありありと表れていてなかなか興味深い。(出版された当時に考えられた方法ばかりだけど、今でも十分有効なものばかりだな)30circlesが紹介されている周辺部分をちょっと訳してみた。ちょっと意訳入ってます。

かたちを持った想像」を実践する場合、ほとんどの学生らには(表現・検証・展開の一連の思考ステップの中で)アイデア表出を得るステップがもっとも難しい部分になる。画面の用紙は脅迫的なほど真っ白で、創作力はつまずき、スケッチの中に表わされることは何もかもが意図したことと違うものになってしまうのだ。次の段落では、用紙の上にアイデアのフローを開くことを支援するために考え出された4つの基礎的な原理、すなわち、(1)想像することの流暢さと柔軟さ、(2)批判しないこと、(3)躊躇しない応答、(4)描くための技術、を論じる。創造性に関する心理のパイオニアであるJ.P.ギルフォードは、アイデアを解き放つ原理として、「流暢で柔軟に想像すること」を提案した。流暢に想像することは、思考者のうち誰が多くのアイデアを生み出せたかによって証明される。すなわち、流暢さの判断基準は、質や独創性ではなく「量」である。また、柔軟に想像することは、思考者のうち誰が多様なアイデアを表出できたかによって示される。すなわち、柔軟さの測定基準は「多様さ」ということになる。次のエクササイズは、ある心理テストから取り入れたものであるが、現時点であなたにアイデアを表出し生み出す「流暢さと柔軟さ」がどの程度あるのかを、評価することが出来るだろう。(p124)

 

 二つめのアイデア生成の原理は、「批判しないこと」である。表現すると同時にアイデアの批判を試みることは、車の運転時に片足でアクセルを踏みながら、左足でブレーキを踏もうとすることに等しい。ブレーンストーミングを発明したオズボーンは、この興味深い指摘を、フリードリヒ・シラーが「アイデアを生み出すことが出来ない」と文句を言っている友達宛に書いた手紙に見つけたという。「君が文句を言う理由は、僕からみたらウソで、想像しようとすることに割り込む君の知性が押さえつけている。明らかにそれじゃ駄目だよ。なんたってそれは創造的な仕事に打ち込むことの妨げでしかない。知性があれこれ働いて、ああ、これはもう出したあのアイデアに近いよなぁ、とか分別してしまうなら、それじゃまるで
遮断機じゃないか。一方で、クリエイティブな精神状態の場合には、僕から見れば、知性は遮断機みたいに監視する役から引っ込んでる。混沌の中でアイデアはじゃんじゃん出てくる。その後でたくさんのものを評価したり検査したりすればいいわけさ。
君は立派に批評することやら、あるいは君が「本当の自分」と考えたいような何かに恥ずかしがっているか、または本気のクリエイターらが発するような狂気にビビってるんじゃないのかね・・・。
君が文句言うような不毛な結果になるのは、君が出てきたアイデアをあんまりすぐにダメだと弾いたり、あれこれシビアに分け隔てしたりしているからなんだよ」

シラーがこの有益なアドバイスを与えたのは1788年である。アイデア生成の足かせにしないために、「批判をしない」ことの重要性は、昔から認められているのだ。(p125「Visual BrainStorming」の問題に続く)