帰省した折に,実家近くに古民家をリノベーションしたゲストハウスがオープンしたという噂を聞いてちょっと見に行ってみた.目的地に着くと,我々この地域の小学校に通った者は忘れられない思い出の「角のたばこ屋」が,とても上品な家に生まれ変わっているのが見えた.入り口にあるタイルでできた柱が昔のまま残されていることがとても嬉しい.この文字を眺めていると,入り口を入って正面に店主のおばちゃんが鎮座していて,そこから左側に折れると右手の方にアイス売り場が,左手の方に駄菓子がボトル売りされてたっけなぁ・・・と古い記憶が懐かしく蘇ってくる.
内部の様子.フルにリノベーションされており,ピカピカである.コミュニティのイベントに貸し出したり,地域の寄り合いにつかったり,という使い方を想定されているそうだ.そして団体で宿泊するために借りることも出来るようにする予定とのこと.
どなたが運営されているのか興味があったのだが,向かいのガス屋さんの奥様でもあるKさんを中心に運営されているそうだ.入り口にある「き」を図案化した暖簾のロゴも自分でデザインされたそう.ここの場所にあったタバコ屋は,ずっと昔に閉められて女主人も亡くなり空き家になっていたのだけど,紆余曲折あってそこにコミュニティ向けの場所を作ろうという企画が持ち上がり,いろんな人の協力を得てようやく無事に実現されたという話を聞かせて頂いた.
庭にはピザ釜やバーベキューできそうな空間がある.これは楽しく使えそう.こういう場所を演出する素材は手に入りやすいのと.いろんなものが寄贈されて集まってくるのは,田舎ならでは.
運営されているKさんご夫婦とおばあさん.母を運転手にしてここに連れて行ってもらったら,なんとこのおばあさんとは古くから知る友人だったようで,さすが地元.「だいたいが知り合い」という狭さに笑う.
母と運営者の方々が昔話や近況交換する様子を見ながら,こういったリノベーションした寄り合い場所は,関わる人々のいろんな記憶がまだらに重なっていく不均質さ具合が面白いと思った.地図上の場所は上書きされても,我々のように古い繋がりを持つ者は,ここにもう一つの意味を重ねることができる.逆にここがコミュニティの中心地となることで,これから新しい活動を行う人達によって蓄積されていく記憶もある.この二つの層が不均質だからこそ,コミュニティが撹拌されるのだ.
実際,この「きてん」が出来てから時々イベントが開催されることで,普段訪れないような人もこの地域にやってくるようになり,「より処」としてすこしつづ機能し始めているようだ.まだ始まったばかりとのことでこれからいろんな取り組みを試していくそうで楽しみである.
上平は「きてん」を応援しております.