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みえないものを、みる視点。

大学生と小学生がいっしょにデザインする試み

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12/19(月)、後期でいちばん力を入れていた2年生のコンテンツデザイン演習で近隣の小学校へ。午前中をまるまる頂いて小学6年生の全4クラスに学生達がワークショップを実施した。

 

この演習はもう10年間小学校と提携して実施しているもので、同僚のK先生と一緒に育ててきたが、今年からやりかたを大幅に切り替えてみた。これまでは理科の教材を開発して「ユーザー」として子供達につかってもらうというのがゴールだったのを、今年からは子供達の役割を「パートナー」という位置づけに変え、地元民代表として参加してもらいながら協働デザインアプローチで学習キットを開発することにしたのである。

 

概念図としては以下の通り。

 

http://www.ne.senshu-u.ac.jp/~cd/2016/cd_log/image/about/fm_model2.png

 

About | FIELD MUSEUM 2016 | コンテンツデザイン応用演習

 

豊かな自然の中には、机の上では学べないことがたくさん存在しています。
フィールドミュージアムでは、この自然をまるごとミュージアムに見立てて、その中で実際に体験しながら自然の仕組みに気づき、サイエンスの学びを促すことができる楽しい学習キットの作成を目指しています。
ミュージアムの舞台となる生田緑地は、首都圏では珍しい自然環境が多く残されており、季節ごとの変化が楽しめるスポットです。

「生田緑地」、「自然科学」、「情報技術」の関わり合いの中で、いかに子ども達の好奇心を刺激し、創造的な体験をかたちづくるのか。そして、いかにしてお互いの視点の違いを知り、協力しながらデザインを進めることができるのか。私たちは学習キット製作を通して、これらの課題に挑戦していきます。

 

とはいえ、双方とも授業時間がふんだんにあるわけではないので、公式な授業だけでなく、同じ敷地内にある学童施設にも協力してもらった。こちらは放課後なので授業中の借り物のような姿でない、生のこどもたちの性格が見える。

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11月某日の様子。

何度も学生達と放課後に訪問して、子供達と交流を深めながら使ってみる。大学生達がくると子供達も大喜びだ。虹作成キットは、こどもたちの手に渡った途端に武器になってしまったが、こういうのはとにかくなんども試してみないと子供達は何をするのか本当にわからないね。でも日本でこういう協働する過程を実際に踏みながら演習をすすめられたことは、自分にとってはなかなか感慨深い。

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そんなこんなで一通り出来たものをもちこみ、まずは仮想の親子になって、校庭にでて実際に使ってみる。1コマまるまる頂くことができたので、わりと余裕をもって進められた。

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落ちている葉っぱを採集し、スピーカーに変えるキット。体験を通して、音の伝わりやすさや電磁気による振動によって音が発生している仕組みを理解する。

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使ってみて、子供達とどうすればもっと面白くなるかを一緒にディスカッション!使ってみて内容を理解することは、だいたいみんな出来ており、そこで「面白い」「面白くない」の評価はできる。けれども、そこから自分が体験したことをメタ化し、客観視して考えていくのはけっこう高度なことだ。ずいぶん難易度の高いデザインワークショップであるw 当然ながらユニークな提案ができる子もいれば出来ない子もいるわけだけど、できるかできないかよりも僕は子供達に「誰かがつくったものを消費するだけでなく、自分たちでも変えていけるんだ」と捉えることができるような、そういう「機会」を持ち込みたかった。

 

6年生達には、このワークショップには理科の単元時間として割り当ててあるそうだが、実はこっそり「デザイン」を持ち込んだつもり。正直まだまだ題材や関わり方などにはたくさん課題があるし達成できたことも完璧にはまだまだ遠いけども、僕らのわがままを許して頂いたいろんな先生方、無茶振りをなんとかこなしてきた学生達、わけもわからず巻き込まれたのに元気に頑張ってくれた子供達に感謝したい。

 

そういうわけで、もうすぐ成果公開となる発表会を企画しています。真冬につき緑地散策の条件としては良くないのですが、お近くにお立ち寄りの方は、是非ご来場下さい。

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FIELD MUSEUM展
—生田緑地で楽しく学ぶサイエンス学習キットのデザイン—

専修大学ネットワーク情報学部2年コンテンツデザインプログラムを専攻する学生たちが、子どもたちと一緒に生田緑地で楽しく学べる自然科学学習キットをデザインしました。親子でも、どなたでも、お気軽に体験して頂くことができます。ぜひご来場ください。

 

2016年度 応用演習[コンテンツデザイン]成果発表会
日時 2017年1月22日(日) 10:30〜15:00
場所 かわさき宙と緑の科学館 2F学習室
   (小田急向ヶ丘遊園駅下車徒歩10分)
主催 専修大学ネットワーク情報学部コンテンツデザインラボ
協力:かわさき宙と緑の科学館 

 

■出品作品

1、しきめくりカレンダー(絵の色の変化で気温と湿度の変化を理解する自作カレンダーキット)
2、緑地のオーケストラ(葉っぱをスピーカーにして音と振動を学ぶキット)
3、2本の虹を見つけ出せ!(二重虹をつくって光の屈折を学ぶキット)
4、植物知恵袋(日照による葉っぱの形状の違いに着目して地図をつくるシールキット)
5、惑星タイムテーブル(1日の生活を他の惑星に当てはめたらどのくらい時間の感覚が違うかを理解する装置)
6、地層丸見え探検(生田緑地の地層を観察するためのペーパークラフト
7、りきがくらふと(「ジャイロ効果」を学ぶ紙工作キット)
8、もぐベタ(生田緑地の中の食物連鎖をみつけて、みんなで繋げていくキット)