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みえないものを、みる視点。

【ミャンマー訪問記#1】ミャンマーでデザインワークショップを実施してきた

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2/20(火)、東南アジアのミャンマー連邦共和国でIA(情報設計)のワークショップを実施してきた。昨年から審査でお手伝いしているWIT Awardという若手クリエイター発掘のコンペの関連企画という位置づけである、昨年審査してながら表彰式に行けずに残念がっていたら、主催しているスパイスワークス社の関根社長が僕が行けるタイミングで場を用意してくださった。

 

WIT Award 2018 公式サイト

witaward.com

まだまだ発展途上中のミャンマー。安価な人件費を活かして先進国のIT企業によるオフショア開発は活発に行われている一方で、付加価値の高い仕事を生む機会、例えばクリエイターを育てるような教育の機会は極めて少ないという。そこで関根さんは、若手の人材発掘も兼ねてミャンマーの若者らを刺激する目標をつくり、彼らがクリエイティビティを発揮して自分たちの文化をつくっていくことをめざして、このWebデザインのコンペを立ち上げたそうだ。漢だ。

 

この日、朝からまず向かったのは、Spiceworks Myanmer社。

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社員の皆さんはみんな20代の若者達で、普段はWebのコーディング等を担当しているとのこと。彼らに僕が研究室でつくったカードソーティングゲームを体験してもらった。これは50種類の犬のカードを、犬カフェを企画するとしてどのようにまとまりと意味をつくりだすか、というIA(情報設計)のトレーニング用キットとして5年ぐらい前につくったもので、今もフリーで公開している。Webの実務に近くてあまり学習の機会が無いものが良いだろうな、と思ってチョイスしたのだけど、よく考えれば背景となる文化がそもそもだいぶ違う。

「犬カフェ・・・がそもそもわからないのでは」

「野犬ならその辺にいっぱいいます」

「犬とカフェで触れあうってのは身近ではなさそうですね」

「そもそもワークショップというものもほとんどありません」

「それは・・・どうなるんだろ」

「とりあえず、やってみるしか」

と関根さん達と悩んだあげく、「失敗上等、どんと来い」の精神でやってみることに。

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心配は杞憂に終わったようで、社員のみなさんはとても盛りあがっていた。ワークショップが盛りあがってくると、全員が自然に立ち上がってフロー状態になることがあるが、女の子チームは実際にそうなっていた。

 

その後、本番のワークショップ。こっちは公募なので他人同士のグループワークとなり、ぐっとハードルがあがる。

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今回のワークショップはFacebookで告知・参加者募集していた。なんと「興味有り」が1465人と、関心持つ人多いようで驚かされる。平日開催でこの数字。年齢24才以下という制限に怒りのコメントしている人もいた。この参加希望者からさらに絞って30数名に来てもらった。

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会場のMelia Yangonは、超がつく高級ホテル。隣では医学系の学会が開かれていたりする。ここの一室で開かれるという。

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ご覧の豪華さである。すごいw 

僕は日本でもこんな会場でワークショップやったことないぞ。

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通訳してくれたMyatminさん。Spiceworks Myanmerのマネージャーである。彼は日本語含めて5カ国語話せるそうだ。僕が適当に話したことの意を汲みながら上手にミャンマー語に翻訳してくれているようで、参加者のみなさんは混乱せずにすんだ。実にありがたい。

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そして午前中にリハーサルした際に体験してくれた社員の子達が、これまた上手にファシリテータをしてくれている!素晴らしい。

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このキットはかわいらしいイラストに騙されがちであるが、抽象的な「関わり合いの体験」を扱うため、けっこう頭をつかうワークである。でも、とても盛りあがっている。

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最後にグループごとにプレゼンテーション。みんな堂々とマイクで自分たちの企画を説明している。僕も一生懸命コメント返した。彼らにとっては未知のサービスでありながらも、ここでデザインすべきポイントは的確に伝わっていたようで嬉しい。

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えーっと、この若者達凄すぎないか(汗)

盲導犬視覚障害者の関係に見るように、犬と人間は相互関係を深めていくことができるわけだが、そういった「犬は傷ついた人間を勇気づけ、良きパートナーとなることができる」という着眼点を展開して、精神的な障害を持った人へのセラピーとなるような犬や、身体障害を持つ人と一緒に遊べるような小型の犬などにソートし直して、Beyond Impossibilitiesというさまざまな障害者を対象とした犬カフェサービスを提案している。プレゼンも圧倒的で、ところどころ翻訳してもらっただけでもしっかりと筋が通っていることがわかる。人間側の都合による消費的な体験ではなくて、それぞれの犬の持つ役割や関係性まで踏み込んでいるのが本当に素晴らしい。

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終了後、みんなで集合写真。

ミャンマーの若者達には、「きみらがミャンマーを紹介するコンテンツを作る場合でも、大事なことは同じだよ、観光名所の情報をただ羅列するのではなくて、ちゃんと見る人への価値を見出した上で編集しようぜ!」とメッセージ送った。

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そして帰り間際に、さきほどの優秀な若者達から記念撮影をお願いされた。聞くとYTU(ミャンマーで最も優れた学生の集まるヤンゴン工科大)の学生だそう。エンジニアの卵でありながら、初めて体験するデザインのワークショップでも才能を発揮するとはすごいね。

 

海外から呼んでもらってワークショップして現地に貢献できるというのは僕の人生でも大きな経験で、素晴らしい一日だった。参加者も喜んでくれたし、とりあえず成功したと言えるだろう。

通訳してくれたMyatminはデザイナーで、とても賢い人なので、今後は一人でもこのカードソーティングゲームのワークショップを実施できるはずだ。(すでにカードもスライドも翻訳済み。)でも外国からまるごと輸入するのではなく、ミャンマーの人々の身近な題材で作ったキットでやりたいね、それが自分たちのデザインの文化をつくることにつながるはずだから・・・とスタッフで振り返り、それを次の目標としておいた。

 

ミャンマーは急速な経済発展の最中で、今回の参加者達にもミャンマーをどんどん引っ張っていくような熱気が溢れていた。ミャンマー人の平均年齢は25才だという。そして日本は45才。熱気を感じる背後では、なんだか冷気を感じる。老いていく日本の今後のために、何か手を打っていかなければ、と思わされる。