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みえないものを、みる視点。

市民に開かれたアートスクールの制作環境:GODSBANEN

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2月19日。デンマークで二番目に大きな街、オーフスを訪問した際に、GODSBANENに連れて行ってもらった。ここはオーフス市営の「カルチュラルプロダクションセンター」とのことで、クリエイティブ関連の場所がたくさん設置されている。GODSBANENは「アートとビジネスと教育の間をつなぎ、人々が出会うためのプラットフォームとして、誰にでも開かれた空間で、いつでも(毎日)機会を提供する」そう。

200人が常時働いていて、毎年17万5千人訪問するという大型のセンターだ。

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この建築は外側も奇抜だが、内側も負けずと奇抜な空間である。

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吹き抜けの奥にはしゃれたカフェが位置している。

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1923年に作られ、もともと貨物列車の中継地点だったそうだが、数年前に方向転換して、文化の中継地点になるように作られたという。オーフス建築学校がここの横に移転を進めているそうで、さらに大規模な中心地となっていくことを想定しているようだ。

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内部には、木工、金属加工、テキスタイル、陶芸、デジタル工作、印刷などの工房、写真と映画の暗室、絵画のアトリエなど。音楽と演劇のホール、ギャラリースペースもある。ほぼ網羅しているじゃないか。もちろんワークショップは頻繁に開かれているし、さらに要請すれば専門家からのアドバイスももらえるそう。

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プロジェクトメンバーがレーザカッターで彫られている。合体して矢印にみえる。メンバーも入れ替え可能で、格好いい。

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文学関係のセンターまであるのだな。

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2階はスタートアップ育成のためのコワーキングスペースになっている。会員なら誰でも使えるが、だれでも会員になれるわけではなく、ポートフォリオなどで審査されるそうだ。

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案内してくれたKokoさんはイラストレータ兼デザイナーで、ここの会員だそうで中まで見ることができた。

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ウロウロしていたら、オーフス大の社会学部の学生からインタビュー調査をうけた。外国人から見てGODSBANENのどこが魅力的か、自分ならここで何をするか、などを聞かれたので、異文化を組み込む方法として「ものづくり」はどんな可能性があるかを探っているのだろう。

 

それにしてもこの充実した環境が市による運営だということには思わず言葉を失うが、これらがアートの全部の分野にわたって徹底的に揃えられている意味を解釈してみると、いわゆるMakerSpaceを越えて、ほぼアート&デザインスクールが持っていた設備・教育・知見共有などの機会を市民全体に提供している、と言えそうだ。あとカリキュラムと教育体系を整備すれば、この環境の中にオープンにアクセスできる新しいタイプのアートスクールができてしまう。

GODSBANENは運営してまだ数年だそうでまだまだ育てている途中だと思うが、ここで何が起こっていくか楽しみな場所だ。

 

godsbanen.dk