2月11日(木),メディア学が専門のM先生がソーシャルデザインの調査にコペンハーゲンに来られたので,気になっているレストランに一緒に行ってみた.昨年の秋に地元っ子のMaiさんから教えてもらったのだが,なかなか行く機会がなかったのだ.
賞味期限切れの食材を使ったレストラン,Rub & Stubという店である.
「それってお腹壊さないの?」「全然大丈夫,私の周りには壊した人はいない」とのことだったので,M先生にもお腹弱くないかを確認した上で食べにいくことに.
夕方の開店と同時だったのであまりお客さんはいなかったが,帰る頃には結構埋まっていたのでそれなりに人気あるんだろう.接客も素晴らしかった.
普通にとても美味しい料理で,廃棄食材だとは言われてもまったくわからない.彩りも素晴らしい.お値段は,スープとメインにビールをつけて200DKK(3500円)ぐらい.デンマークにしてはかなり安い方だ.
壁にコンセプトを書いてあった.
1,提携しているお店から廃棄予定の食材を寄付してもらう.
2,その食材をボランティアが運ぶ
3,ボランティアが料理する.
4,ボランティアがその日のメニューからオーダーをとり,サーブする.(※当日のメニューはその日に集められた食材によって決められる)
5,売り上げは、議論した上で寄付先(例えば難民支援)を決めることができる.
つまり,材料も人件費も無料で,我々が払ったお金はシリア難民の人々への寄付にまわる,ということか.
(※全部の食材が廃棄食品というわけではないらしい)
もう一枚のパネルには特徴をまとめてある.
非営利,ボランティア,日替わりメニュー,お代わり可.持ち帰り可.だそうだ.
なるほど.お客さんは普通にレストランで食事したのと同じ美味しい経験を得て相応の対価をはらう(僕も寄付したとは思ってなかった),ボランティアたちは難民キャンプまでいかなくても、実生活の中でスキルを活かして働いてお金を稼げる.そして寄付しようにも持ち合わせがなかったとしても,実際に寄付できる.店が繁盛すればするほど,大量に発生している食品ロスは減り,難民は救われる.
うむ,うまい,誰一人無理なことをしていないし,こまかく分業することで持続性のあるモデルが作られている.
こういった「無理をせず」「それぞれが小さな行動範囲で出来ること」はソーシャルデザインのセオリーであるとも言えるけども,ちゃんと噛み合う仕組みをつくるのはなかなか難しいものだ.社会貢献というとなにか苦しいことをしなければならないという強迫観念にとらわれている人も多そうだが,そういうわけでもなく,アイデア次第なのである.
日本でも食品ロスは大きな問題だが,日本だとこのレストランのコンセプトはどう捉えられるんだろうな.