11月8日(土)、武蔵野美術大学デザインラウンジにて開催された、Xデザイン学校公開講座「エスノグラフィーとデザインを考える」にて登壇の機会をいただいた。社会人向けデザインスクールのXデザイン学校にはここ数年、あまり世の中で語られてないことについて投げかける「変化球担当」としてお声がけいただいている。そんな暴投まがいの僕の球を、校長の山崎先生をはじめ一般のみなさんも大変熱心に聞いてくださるので、僕としても貴重な言語化の機会と位置付けて毎回真剣に取り組んでいる。上の写真は山崎先生の開始挨拶の時。まだちらほら空き席みえるけど、その後満席になった。感謝です。
というわけで、今年選択したテーマは「デザイン人類学」。海外では盛んに議論されているものの、日本にはほとんど紹介されていない学問分野である。 この日は多くのイベントが開催されていて、聞きたかったけど聞けなかったという声も頂いたので、スライドだけでも大意がつかめるように、言葉を多めに記述したスライドを公開することにする。この言葉にご関心お持ちの方、ご笑覧ください。
(SpeakerDeckのサイトに行くと全画面で見れます)
デザイン人類学は境界領域でみんな手探り状態なので、もちろんこのスライドの内容もおおまかな見取り図しか示せてない。でも最近人類学をバックグラウンドにした方でデザインに関心を持っている人はとても増えているので、面白いコラボレーションが生まれるといいな、と思う。興味を持たれた人類学界隈のみなさま、ぜひ研究会をしましょう。
口頭で触れた、iPhoneの開発秘話「THE ONE DEVICE」の該当部分引用はこちら。
知るのは不愉快な事実だが、それでもきちんと咀嚼したほうがいい事実である。我々のデバイスの原料は、原始的な道具を手に、死の危険と隣り合わせの環境で働く鉱員によって供給されている。iPhoneを構成する元素の多くは、iPhone所有者の多くが数分と耐えられないであろう環境下で掘り出されている。
ブライアン・マーチャント. THE ONE DEVICE ザ・ワン・デバイス (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1215-1222). Kindle 版.
私は初代iPhoneの開発プロジェクトに関わった人にインタビューする時、必ず聞く質問があった。自分たちがこの世界に解き放ったデバイスについて、今どんな印象を持っていますか、という質問だ。驚いたことに、ほぼ全員が似たような愛憎半ばする気持ちを抱いていた。デバイスのあまりの普及ぶり、アプリのあまりの使われぶりに畏敬の念を抱くと同時に、常に注意を引き付けてしまうというマイナス面にほぼ全員が触れたのである。一緒に食事をするカップルが会話もせずにそれぞれのデバイスを凝視する姿は嘆かわしい限りだと。
ブライアン・マーチャント. THE ONE DEVICE ザ・ワン・デバイス (Japanese Edition) (Kindle の位置No.5838-5843). Kindle 版.