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みえないものを、みる視点。

視点万華鏡:対話における質問を考える機会

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4月上旬,2年生のガイダンス後に,初回までの事前課題としてちょっとしたアイデアを試してみた.自分たちの対話の場で使う質問を考えてもらうというもの.Question Cardsってのは海外では割と普及していていろんなキットになっているが,日本ではあまり見ない.さらにそれを自分たちの手でつくってみるというのはもっと少ない.というわけで,うちの学生だとどんな質問を考えるのか気になってやらせてみたのだ.

 

課題文は以下の通り.

[はじめに]
これからの世界では,用意された質問に答えるのではなく,質問それ自体を考えることが重要です.よい質問は人々を刺激し,見落としていた視点を新しく気付かせてくれます. 演習に先だって「よい問い」とはなにか,考える訓練をしてみましょう.

[問題]
ネットワーク情報学部生(1〜4年)で,学年を超えた4人一組のグループに分かれて対話ゲームをするとします.対話は,議論とは違います.意見が正しいか間違っているとか,勝つか負けるかのようなものではなく,それぞれの語りを傾聴し,多様な考え方や答えがあるんだ,ということを受けとめ,相互理解をさぐるものです.では,このワークショップではどんな質問が想定されるでしょうか? みなさんなら,どんな質問をだしますか?自分自身でその質問を一人で「3つ」考え,右の枠の中にペンまたは濃い鉛筆で記入してください.
なお,「例」は出しません.

※質問は,トランプのようなカードに書かれており,めくって使うことを想定しています.

※質問には,クローズドなもの(「はい/いいえ」で答えられる)とオープンなもの(多様な答えがある)があります.ここではオープンなものを考えてください.

※3つとも同じようなものではなく,それぞれ違う角度のものを考えてください.

履修者100人以上いるので,上の1つの問題文から300以上の問題が集まった.以前ダイアログゲームのキットをつくった時,一人で質問考えるのはなかなか頭を使って大変だったので,これは役得.

課題文にあるように「例」を出してないため,正解かどうかばかり気にしている学生はとても困ったと思うが,今はその不確実さと闘わなきゃいけない.

 

そこから僕が30枚を選抜して,演習アシスタントのSさん(3年生)に「カードにしてね!」と渡したら,作ってきてくれたのが,上のカードキット.ネーミングもSさんが考案してくれた.なかなかよい.

 

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狙いとしては,学生へのトレーニングという体裁を取りながら,一方では自分が「面白い」と感じる質問にはどんな要素があるのかの評価の枠組みを考えてみたかった.面白い質問は,当たり前のように知っているものを撹拌して,別の一面を垣間見させてくれる.またいい質問を考える学生からは,一般的な真面目さと相関しない別の知性が見えるのもなかなか興味深い.

 

1年生向けの入門ゼミで使うと良さそうだね,という他の教員からの意見を頂いたが,自分たちの身の丈にあったものに反映していけるという意味で,自分たちのコミュニティで使う道具を自分たちでデザインしていく,というのは大事だ.