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Kamihira_log at 10636

みえないものを、みる視点。

Center for Persona Research and Application

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おなじIxDリサーチグループのLeneとKiraが運営しているCenter for Persona Research and Application(ペルソナ研究室)にお邪魔してきた。といっても僕のオフィスから10メートルほどの近くの部屋である。Leneとはなかなかお話する機会がないので、北欧のデザインリサーチの動向などいろいろ聞き込む。

 

シナリオを具体化して、アクティングアウトで利用者の視点に変換するというのは日本でも普通に行われてきたが、もうひとつ、北欧でデザインツールとして使われている方法としてForum Theatre(Stop-Go)という演劇の方法がある。決してメジャーなわけではないと思うが、以前からこの方法に関心があったのでやり方など聞いてみた。ビデオを教えてもらったのでメモ。南デンマーク大の大学院の取り組み。

 

 There are two purposes of the forum theatre. Firstly the forum (the audience) is shown a different perspective to already known problems in this event we're talking about a bottle cooler, and how to make it more green. The audience (service and engineering personnel from a component supplier) learn that the owner has to pay for the power consumption of the fridge.
The other purpose is for the designers (the actors) to retrieve information from the forum, and here we learned that the shop owner would probably call the Soft Drink Supplier first, in order to get service.
The video is a short summary of an one an a half hour session.
This forum theatre was made as part of the IT-design master course at University of Southern Denmark (cand it), Mads Clausens Institut, SPIRE , DACAPO

 

フォーラム・シアターとは
私達の身近な事柄について問題を含んだ劇を上演します。当事者の経験や取材に基づいたエピソードです。
 1回目は、まずじっくりと見てもらいます。解決したいが思うようにはいかないまま終わってしまう劇を1度上演し、見ている人も演じている人も「その状況」について考えます。
 そしてもう一度,同じ劇を上演します。今度は観ていて「ちょっとヘンだな」とか「その人の発言がおかしい、ワカラナイ」「私ならこうする、こう言う」 「そこを変えたい」という場面が来たら、手を上げて途中で劇を止め、意見を言ってもらいます。登場人物の態度であっても、あるいはそこに反映される考え方 についてでも良いのです。そして、できれば演じている人の代わりに舞台に上がり、解決策を実行できるかどうか試してみます。また他の人物のリアクションが どう変わるかを見てみます。場面や人間関係が動いていくでしょうか?最初の筋がどんどん変わっていっていいのです。そこに、変えたい現実を動かしていくヒ ントが見いだせるかもしれないからです。
 時間の許す限り、いくつもの幾人ものアイディアを試します。

 Forum Theatre

 

つまり、傍目にはアクティングアウトみたいなものではあるが、観客が見ているだけでなく、流れを止めることができるという観客参加型で、アクターと観客が一緒に問題を掘り下げていく。2つのパースペクティブから同時に進められていくのがなかなか興味深い。

 

Forum Theatreは、ブラジルのアウグズト・ボアールによって生み出された。

www.amazon.co.jp

 

ボアールはブラジル民衆文化運動で僕の好きなパウロ・フレイレと関係の深い人で、ここに来て点と点が繋がってくるとは夢にも思わず、なかなか刺激的だ。演劇とか教育学とかいろいろ勉強はしておくものだ。

 

ところで、現在の日本ではペルソナ・シナリオ手法はだいぶ落ち着いていて、プロセスの中で取り入れるとしてもプラグマティックペルソナのような簡易的なものが中心になっている(と個人的観測範囲では思っている)が、つまりチームでのブレをふせぐためのツールとしてのペルソナと、問題発見フェーズとしてのリサーチはだいぶ分離してきているように思う。開発期間は限られているわけで、効率よくサイクルを回すデザインスプリントのようなプロセスが注目を集めるのも道理だろう。

 

そのへん北欧はどうかいうと、日本みたいに民間でやるにしても、国が予算を出しているプロジェクトも多く、その分時間や人員をかけられる案件はあるのだという。75%の税金は公共のために使われるのだから、そりゃそうだな。なるほど、基本的な前提(かけられるリソース)が異なっているのか。

 

デザインは文化を耕していくものでもある。スペシャリストが話を聞いて効率的にはぎ取るだけではなく、対話や制作の過程を通じて人々の意識を変えていくこともあるわけで、そういう意味では北欧のような参加型として開かれた仕組みはもっと検討されていいのでないかと思う。

 

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ホワイトボードの使い方や2軸マトリックスなど、ツールはほとんど同じ。でも書かれている中身は多分違っていて、最近はそこを見たい。

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ペルソナ作成の10ステップをポスター化したもの。こうやって全段階の見取図を貼って見えるようにするのはチームビルディングとしても有効だ。これは安岡さんが日本語訳したものもあるそう。

「ステップ1の前に、ステップ0として、見えてない問題を知り、問題化する段階があるのでは?」とLeneに聞いたら、「それはそうだ」と笑っていた。まあこれはデザインプロセスではなくペルソナ限定の話だからな。

 

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壁にはびっしりとデータ。よく見たら定量データだった。ラボでは今、人々がxx(発表前なので伏せる)をどう選んでいるか、どう扱っているかを調べているらしい。「こんな丁寧に自分でデータ取っているの?」と聞いたら、Kira(向いのヘッドホンしているお姉さん)がやったそう。リサーチには手足となってくれるアシスタントいるのは羨ましいな。