Kamihira_log at 10636

みえないものを、みる視点。

除外されがちな人々と対話する機会

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コペンハーゲン中央駅から南に降りたところにあるCafé EXITに行ってみた.ここは元受刑者の社会復帰の支援をしている団体が運営しているところで,不定期に元受刑者たちによるイベントもしている.刑を終えて出てきた受刑者は,当初は仕事はもちろん,社会的繋がりも少なく,社会からは見えない存在になっている.そこで彼らと「なんで銀行強盗したの?」「10年ぶりに娑婆に出て友人とどんな会話したの?」とかなかなかできないディスカッションができたりするという.

 

北欧と日本では刑罰に対する感覚がかなり違っていて,彼らは刑務所を「罰を受ける場所」というよりも,「再出発するために更正するための場所」と捉えているようだ.こういった問題は個人的には建前と本音の使い分けがかなり微妙になってしまいそうだが,あらためて自分はどう考えるか,を問い直してみると自分の育った文化に影響されていることが浮かび上がってくるから面白い.日本にいると日本は見えないからこそ,外国人として生活できている今の機会に考えてみたいことなのである.

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残念ながら午前中でまだ人はおらず,あまりそれっぽくないが(壁の絵はじゅうぶん怪しいな),スタッフにインタビューできそうな人を紹介してもらえたので,今度話を聴きに行ってみよう.

 

僕の報告している街の観察例は子どもから障害者,はては受刑者まで,別々に見えるかも知れないが,社会から除外されがちな人々と平等(Equarty)な態度で意味のある関係をつくる実験的な試みという意味では実は結構繋がっている.デンマーク福祉大国,という見方をされることが多いが,それは彼らの理念を具体化した一面にすぎないことが見えてくる.