Kamihira_log at 10636

みえないものを、みる視点。

手間暇とバランス

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今日は終日学部内の会議とミーティング。同僚とランチしながら研究と教育のバランスをいかにとるかの話になった。業績をあげるためには時間確保は重要なポイントになるのでみんな考えるところがあるようだ。

 

昔聞いた、工学部の実験の話で印象に残ったことがある。難関大の学生たちは自分で考えたがるので、あまり細かいことは指示しないほうがよくて、そこから(世間一般でいう)難易度が下がるにつれて「あれをやって」「これを記述して」「何文字書いて」という手順などのインストラクションが増え、変数は減っていくという話。美術系の演習でも当てはまるし、広義には義務教育でも当てはまると言える。誤解の無いように強調すると、これは能力差や指示の量に対する是非ではなくて、目の前にいる学習者一人一人の発達に応じて適切なハードルが設定されるべきだよね、という話だった。ちなみに例えば教育困難校などの場合は教員の負担が大きいのは事実だろうが、優秀な学生がそろう学校の教員も決して楽という訳ではない。

 

↓某名門中学教諭のあすこま先生のつぶやきより

 

これは怖いw 教員も人間なので自分の能力にみあわない場にいるとすると、ストレス半端ないことになる。

 

われわれの大学の場合は、指示された要件はちゃんと守って真面目に取り組む学生がほとんどだが、その先の"創造的に思考する"部分にはそれなりに手間暇がかかるため、僕も同僚達もみなその部分にはかなり時間がかかっている(PBLのような答えの用意されてない取り組みしているところはどこも似た問題を抱えているだろう)。そこで教員は、自分の研究と教育を近づけるか切り分けるか、のジレンマを抱えることになる。

 

僕は去年、学外に呼び出されることが多くて学生と関われる時間をあまりとれず、それがやはり学生達の志気に跳ね返ったことを反省して「来年はもうちょっと一緒に考えよう」というモードなのだが、ある先生は学生対応で疲れ果ててて「もう学生と一緒にやるのはやめとこう」というモードになっている・・・というのが今日の話題。

 

みんな大変なのだ。そんな中で日本のあちこちの大学で学生達と活発なプロジェクトの実績を残している先生方は本当にすごいとおもう。常葉大の安武先生、実践女子大の松下先生はじめ、各大学の先生方、頭が下がります。