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Kamihira_log at 10636

みえないものを、みる視点。

ギブすることから始まる

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3/26(日),調布のこども食堂に行ってきた.最近こども食堂が急速にあちこちで広がっていて関心をもっていたが,なかなか行く機会がなかった.場所は京王線布田駅近くの公民館のようなところ.

 

15時半頃に開始.こどもたちが徐々に集まり始める.雨ということで(?)スクリーンを使ってDVD上映.

 

その間に,ボランティアのみなさんが調理開始.みなさんで手分けしていろいろ凝ったトッピングをつくっているが・・.

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なんと,いろんな動物の形で盛りつけされている!

ずいぶんかわいいカレーができた.こどもたちも大喜び.

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こどもは無料.おかわりして腹一杯食べられる.小さい子にはボランティアのおばあちゃんが会話しながら一緒に食べている.

 

多世代が交わるコミュニティがとても興味深かったので,一気に取材モードに.主催者の方々にいろいろ聞き込んだのでメモ.

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・こども食堂の発祥時の定義は,「こども食堂とは、こどもが一人でも安心して来られる無料または低額の食堂」。 だが,普及していくにしたがって今ではさまざまなスタイルがあり,10箇所有ればたぶん10箇所ともやっていることは異なるのではないか,とのこと.紹介して頂いた記事(湯浅誠氏)によると,大きく「共生型」と「ケア型」の類型がある.

news.yahoo.co.jp

・こども食堂のノウハウを広めるために,草の根的にネットワーク化されていて,全国の運営者たちによってこども食堂サミットってのも開催されている.

 

・ちょうふこども食堂は,「居酒屋はまどおり」の店長,T氏によって昨年から始められた.月一開催ペースの開催で,この日で11回目.約1年続いていることになる.

 

・T氏は震災を機に会社を辞め,福島の食材を応援するための「居酒屋はまどおり」を開店.さらにその売り上げをなんとかして地域社会に還元できないか,を考えている折に,こども食堂のことを知り,はじめてみることにした.

 

・最初は自分の店でやっていたが,だんだんこどもたちが集まりすぎて入りきれなくなったので,近所の公民館を借りて運営することに.食材や調理場所は店のものを流用するなどして費用は一回の開催経費は1万程度.(そのうち,公民館を借りるのに数千円かかっている)

 

・こども食堂は,T氏のほか,お店の常連で主旨に共鳴したO氏,お店でアルバイトしていたSさんを中心にしたコミュニティで運営.なんとSさんは専大の学生.彼女経由で手伝いにきていた学生数名はみんな専大生(!).

 

・こども食堂を続けているうちに,「力になりたい」という高齢者の方もたくさん現れ,子供・大学生・高齢者など,自然に多世代交流の場になってきた.親子でボランティア参加している例も.こどもたちのリピート率は高い.

 

・ボランタリーな組織で持続性をつくるのはとても難しいし凄いことなのだが,出来る範囲ということを意識していて,無理なことは絶対にしないからこそ続けられている,とのこと.

 

・食に関わるリスク回避の声にはどう対処しているのか,という質問には,店で安全に調理していることをアピールするとともに,アレルギー対策は申込時にしっかりしている.アレルギーのある子には別メニューをつくたりもしている.それ以上のネガティブな意見には「どこかで押し切るしかない」.

 

・なんで居酒屋にそんなコミュニティがうまれるんだろ,と不思議だったが,「はまどおり」は店の成り立ちから福島の復興支援という名目があるので,そういう社会性に感度の高いお客さんが自然に集まるようだ.

 

・お店でもお客さんからこども食堂の運営の寄付があつまっているそう.例えばワリカンを切りの良い数字にしておつりを寄付に回す,というのは気軽にできそうですよね,と僕が思いつきのアイデアを言ったら,そんなことをしなくても「これ,こども食堂につかってください」とポンと寄付してくださることもあるようだ.寄付する側としても,使途がよくわからないものにはイメージがわかないが,目の前の人が実践している活動であれば応援したい気持ちもより自然に湧いてくるのだろう.

 

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一通りお聞きしてみて,コミュニティの源流が,T氏の自発的な思いから始まっていることがとても印象に残った.本人は「そんなに難しくない,だれでもできますよ」と謙遜していたが,最初に行動し,動きを作ること,それが難しいのだと思う.最近デザインと「贈与」の意味をずっと考えていたのだが,肩肘張らないT氏の活動はいろいろと示唆的だった.まず自分がギブすることで,何かが始まり,人と人の関係が生まれていくのである.

Adam Grantのgiverの話を思い出した.