Kamihira_log at 5007

みえないものを、みる視点。

立命館大学に着任しました

4/1付で立命館大学に教授として着任しました。

関西の地にて、心機一転頑張りたいと思います。立命館では2026年4月開設にむけてデザイン・アート学部(仮)と大学院デザイン・アート研究科(仮)を設置構想中です。まだ文科省の審査段階ながら、順調にいけばこちらの一員として着任する予定です。今年一年は教養課程に所属して、いくつかの科目を担当します。

 

www.ritsumei.ac.jp

総合大学の立命館が表現系の学部をつくるというのは意外に思われるかもしれませんが、実は立命館にはデザイン科学研究所アート・リサーチセンターなど、研究組織としては長年の蓄積を持っています。今回の設置構想もデザイン研究者の八重樫文先生(経営学部)、社会学者の山下範久先生(グローバル教養学部)など中の人を中心に進められたもので、今後の世界で重要な問題、たとえば、

・デザインが脱領域化し、拡散していく中で、デザイン教育のカリキュラムはどうあるべきか

・異分野が越境し合う先端的な研究を進めるにあたって、そんな組織が必要とされ、そこでデザイン研究者はどのような役割を担うか

・いまの気候変動・人口減少・生成AIなど誰も先を予測できない時代にどんな人材を育てようとするのか

などの難しい問題に、総合大学の利点を活かして挑もうとするものです。問題解決のように抽象的な「思考」だけでなく、造形言語による「表現」だけでもない、これまでのデザイン教育の更新を試みる大胆なカリキュラムになっています。(どれほど攻めた取り組みなのかは、カリキュラムが掲載された仮パンフレットが公開されていますのでぜひ御覧ください)

この構想を実現しようという八重樫先生の志に共鳴し、設立に参画することを決意した次第です。

 

八重樫:新学部/新研究科では、「まだ世の中には存在していないけれども、これは自分にしかできないはずだ」という強い思いをもった学生を求めたいと思います。キャリアという意味でも、すでにある「◯◯デザイナー」や「◯◯の専門家」を目指すだけではなく、領域を超えた新しいデザイナー像やアーティスト像を生み出すことを目標にしてほしいと思います。

〈中略〉

新しい領域にチャレンジするのは、学生だけではありません。私も含めて教員陣も、誰でも想像できるような研究や実践ではなく、未知なる課題に挑戦します。もちろん、こうした挑戦はすぐにうまくいくものではありません。新しいものを生み出すためには、失敗を重ねる必要があるからです。大いに挑戦し、心ゆくまで失敗しましょう。そのための場所を用意したつもりです。社会に対して積極的に新たな挑戦をしたい学生を歓迎します。

https://www.ritsumei.ac.jp/da/journal/journal-1/

 

新学部は衣笠キャンパス金閣寺の近く)ですが、今年一年は二条駅前の朱雀キャンパスに研究室を持ちます。5007です。タイミング合えば是非お越しください。創設メンバーは、熱量が高くさまざまな専門領域からなる研究者が集まっています(5月頃公開予定)。関心を持たれたみなさま、学ぶことも是非ご検討いただけましたら幸いです。

 

さて、この学部が設立されることは、僕の眼の前の仕事が変わるだけではなく、その責任の重みは理解しているつもりです。すでに美大が数多くある京都にもうひとつ競合が増えることについて京都周辺のデザイン教育界隈は複雑でしょうし、次の年(2027年)には東大が〈カレッジ・オブ・デザイン〉を設立します。今後の総合大学の組織改革の方向性にも小さくない影響を与えるでしょう。

 

ということで、周囲のことは気にしないで実験的なことをのびのびと試せた前職に比べ、プレッシャーも大きいなぁ、とそんなことを思いながら辞令交付式にむかったところ・・・。

壇上に、小川さやか先生のお姿を見ました。小川先生は誰もが知る優れた人類学者であり、ちょっとだけ知人でもあり、僕の面接時の審査員(汗)でもあったのですが、なんとあの若さでこの春から学校法人の副総長/ 立命館大学の副学長という大役に抜擢されています。運営の意思決定のために優れた研究者を積極的に登用する先進的な組織の姿を見た気がして、非常に驚かされました。小川さんの抱える責任に比べれば自分なんて、という気がしてくるから不思議です。

まったく新しい仕事ばかりになって日々大変ですが、これから頑張っていきたいとおもいます。

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なお、転職の話を報告すると二言目には「家族はどうするんだ」って質問攻めに合うのですが、毎回プライベートなことを説明するのに非常に疲れています。お願いですが、この件オンラインでは(できれば対面でも)ノーコメントとさせてください。どうぞよろしくお願いいたします。