アントワープ大聖堂の前の広場にある石碑には日本語で文章が書かれている．日本のコンテンツについての，日本人による（トヨタの寄贈），日本人観光客のための石碑だ．
フランダースの犬は日本人の我々の世代では国民的物語だが，当のベルギーでは全く人気ないらしい．そういえば，どんな話なんだっけ，と少しYoutubeで動画をみていたら，クライマックスのコンペで負けてしまうシーンはなんだか「明日のジョー」に似ている．そんな感じの単純なハッピーエンドではない話を共有するのは日本人の気質なのかもしれないと思った．
ユーザエクスペリエンスデザインでは，ストーリーテリングの基本として，ハッピーな体験というのがよく説明される．たぶんアメリカ発の知見だろう．でも，日本文化が物語を受容してきた経緯としてはかならずしもそうはなってない．
谷崎潤一郎は「陰影礼賛」において，日本人は暗闇に美しさをみいだすことを論じたが，人間の感情にもそういう所があるのかも知れないな．
