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みえないものを、みる視点。

セブンオリジナル商品の指定書体

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いつのまにかセブンイレブンのオリジナル商品の指定書体がすっかり切り替わっていた。明朝でもなくゴシックでもなく筆遣いのある楷書で、その中でも特に真面目そうな教科書体である。ずっと「なんで教科書体なんだろう?」と思いながらも、そのまま疑問を放置していたが、今週グラデザの講義がちょうど書体を扱う回なので、「身の回りにある書体」教材のアップデートを兼ねてちょっと調べてみた。

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こどもたちが仮名や漢字を正しく習得する際に参考になるように、とめ、はね、はらいがちゃんとお手本として示され、国語の教科書の本文用に作られているから「教科書体」という。セブンイレブンがこどもたちの字のお手本になろうとしているのかどうかは、知らない。

 

「もちふわパンケーキ」の字をフォント見本で手がかりをもとに探してみると、あった。フォントワークス社の「ユトリロ」だ。

 

試しにフォントワークス社のウェブサービスでサンプルを打ってみる。

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ベタ打ちでは字詰めがなってないけど、書体名はこれで正解のよう。長年喉に刺さっていた小骨が取れたような気分だ。(※ググってみたけど、誰一人として言及してない。他にも気になっている人いそうなのでここで書いてみる)

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黒字の数字は「DIN」で、日本語は「源ノ角ゴシック」。このへんはデザイナーならひとめ見ただけで分かる。

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ちなみに改訂前のスライド。ちょっと前までは「S明朝体」(ニイス)と「ロダン」(フォントワークス)の組み合わせだった。S明朝体は細部に墨だまりを感じさせ、柔らかい雰囲気的はちょっとA1明朝に似ている。セブンオリジナル商品ができたときからしばらくは全部これで統一されていたが、すこしづつ消えていった。

 

指定書体というのは通常はデザインディレクター(セブンの場合はたぶん佐藤可士和)が決め、フォーマットに則った上で別のデザイナーが展開していくものなのだけど、ユトリロといい、ロダンといい、フォントワークス社の製品が使われているのはなんでなんだろう。そんなことを一緒に演習やっているグラフィックデザイナーのMさんと雑談してしていたところ、Mさんは「ライセンスの問題かもね」と指摘されていた。例えばモリサワの書体を使ってそのままロゴタイプには使えない(別途お金がかかる)から、このセブンの商品名もロゴといえばロゴではあるので、そういう問題を回避しなければならない、というのは確かにありそうだ。そういえば、フォントワークスはテレビのテロップ(NHKなど)やアップル社(キートップのひらがなは「スーラ」)にも提供しているから、複製される場合でも使いやすいようなライセンスなんだろうと考えられる。ちょっと詳しい人に聞いてみよう。