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みえないものを、みる視点。

デザイン・ドリブンによる街づくり:ヘルシンキデザインウィーク

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ヘルシンキ出張についての続き。この時期にヘルシンキを訪問したのは、ちょうど世界中からデザイン関係者が集まるヘルシンキデザインウィークが開催されるからである。ヘルシンキはデザインによる市民中心の街づくりを標榜し、Design Driven City Helsinkiという基金ベースの組織を持っているようだ。

www.toimivakaupunki.fi

この組織は、そもそもは、World Design Capital Helsinki 2012という3年前のイベントの活動を引き継いで続けられているらしい。サイトにのってるいくつかのプロジェクト事例は実に興味深いが、特に最新プロジェクトのDesign Stories from Helsinki は今後面白くなっていきそうな予感がする。デザイン駆動による街づくりのために、どうつくるかの実際の"ストーリー"がこのサイトにはまとめられていくようだ。

www.designstoriesfromhelsinki.fi

ヘルシンキの街全体でのデザインに賭ける組織力はすごい。デザインが特定のスペシャリストによる実践ではなくて、社会的な共通言語や方法論になって既にあちこちで実を結んでいるのは世界の他の都市と比べてもだいぶ進んでいる・・・と思わざるを得ない。さすがに「世界のデザインの首都」を(勝手に)自称するだけはあるな。自称はインチキではなかった。

 

実は一番興味があったのはアアルト大学が主導して国際的に進められているプロジェクト"Design for Govermnent"(政治のためのデザイン)だったのだが、プレゼン時間へのタイミングが合わずに痛恨の断念。まあ内容はウェブサイトに全部掲載されているので読めばいいか。

このプロジェクトは、学生が政府に対して複雑な政治的問題や公共の場へのデザインによるソリューションを提案し、それを現役の大臣含む政府関係者にプレゼンする、という斬新なもの。それがCreative Sustainabilityコース(大学院修士)の授業として行われている。デザインの持つポテンシャルを探るためにこれまでないテーマに挑戦する、という意味もあるらしいが、少なくとも、ここに参加しているフィンランドデンマーク、イギリス、アメリカの国々は、政治におけるデザイン思考の活用は喫緊の課題として捉えられているようだ。日本でもその辺の取り組みは徐々に始まっているけど、世界の動きは速い。もうちょっとちゃんと解釈するために、サイトを読み込んでみようと思う。

 

以下スナップ。

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 ヘルシンキデザインウィークのメインセミナー。日本からはロフトワークの林さんが講演。久しぶりに会ったが、人が多くて挨拶でもできず。

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ヘルシンキの街はよく整備されていてとても美しい。市電はベビーカー押している人なら無料になる。

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 特設会場のL3という倉庫跡。いろんなブースが出展していている(準備中にむりやり見たw)

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 建築家による未来の街のスケッチ。この先にヘルシンキはどういう街になっていくかの断片が垣間見れて興味深い。最近は完成品よりもこういう思索のプロセスのほうが面白い。

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デザインミュージアムでは中国のデザインをフィーチャー。題名からわかるように、中国のデザインも急速に洗練されてきていると感じた。

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あちこち会場をハシゴしながら帰りがけに見たヘルシンキ大聖堂。この街ランドマークである。相変わらず巨大だ。こういう観光っぽいところはまたもほとんど寄れなかったが、とりあえずデザインシティとしての活気を感じることができたのでよしとする。