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みえないものを、みる視点。

「上平少年、デザインに目覚める」の巻

 年末に実家に帰った時に、子供の頃のネタで大学でコントやったよという報告を母親と兄にしたら、さすがに40年も前のことなので、すっかり忘れているようだった。言われた方は覚えていても言ったほうはきれいに忘れる、というのはそんなものかもしれない。ということで、思い出してもらうために台本を掲載してみる。

 

以前掲載した「情キャリでコント」5本のうち、最初のものです。

着席している学生がいきなり立ち上がって参加するという仕込み付き。

 

__________

 

#1「上平少年、デザインに目覚める」の巻

ナレーション=熊崎さん

兄=川上くん

母=鈴木さん

 

 

ナレーション(ここは1980年頃の鹿児島県阿久根市―。上平君の自宅にて、とある休日のこと)

 

崇仁「兄ちゃん!兄ちゃん!」(ドンドン、ドンドンと扉を叩く)

兄(川上)「なんだよ、崇仁」(席からやってくる)

上平「あ、兄ちゃん、北関東のヤンキーにしか見えないけど、鹿児島でいつも一緒にあそんでくれた2つ上の優秀な兄ちゃん」

兄「家の中で誰に解説してるんだよ!」

崇仁「まあいいや、えーと今扉に鍵かかってるんだ、鍵開けてよ」

兄「おお、そうか、って見えてるんじゃなかったんかい!」(鍵を開けてドアを開ける仕草)

崇仁「ありがとう、入れた」

兄「お前、オヤジの工作道具持ち出して、何してるんだ?」

崇仁「いや−、この鍵、外から開けられないじゃないか」

 

ナレーション(ちなみに上平家の勝手口の鍵は、「あおりどめ」と呼ばれるこんな

古風な鍵が付いていました。)#スライドは、鍵の画像

 

兄「そうだよね、こんな家泥棒は入らないだろうけど・・・かといって開けっ放しにすると、ネコのヤスが入って来るし」

崇仁「閉めたら閉めたらで、今みたいに扉叩いて誰か中から呼ばなきゃいけないしね。それをなんとかしようってことさ、さ、プロトタイプができたよ」

兄「お前小学生のくせにプロトタイプって言葉知ってるのかよ」

崇仁「いや知らんけど。というわけで外から、この紐を、ゆーっくり引くと・・・ほら、カチャッと」

兄「おお、開いた!スゲー!」

崇仁「兄ちゃん、兄ちゃん! 俺が中で鍵締めて三角座りして待ってるから、外から鍵開けてみてくれない?」

兄「ああ、いいよ」

(座ってドキドキして待つ上平。紐を引っ張る兄)

カチャと開く鍵 #スライドは、鍵が開く画像

崇仁「いやったぁ!!!超、嬉しい!
この喜びを誰に・・・母ちゃん!母ちゃん!」

 

母(鈴木)はーい、(席で返事して教卓にくる)

「なんだい、崇仁」

兄「崇仁が、外側から鍵開けられるようにしたよ」

母「おー、そうなの。ふむふむ、で、この紐が通っている穴はどうしたの」

崇仁「え、ここ?ここは父ちゃんの工具箱からキリ持ってきて、一生懸命穴開けた」

(おどろく母、兄)

母「ドアのこんな目立つところに穴開けて・・・まったくお前は・・・!」

母、思い切り平手打ちすると見せかけて、頭を撫でる。

崇仁「ごめんなさい」身をすくめる

母「いいのよ!こんなドアの傷ぐらい。いずれお前達も家を出て行くんだし。それよりも、生活の中の不便なことを、たった一つ穴を開けるだけで変えられるって、それを思い付いてやれるのが、頭が柔らかいって事だよ。お前は兄弟より頭は悪いけど、きっとクリエイティブなことを考える才能があるよ!」

崇仁「ありがとう、母ちゃん!」

 

ナレーション(そうして素直な上平少年は、いろんなものを発明したりすることに夢中な少年になったのでした。こんな風に、いつも叱らず挑戦することを褒めてくれた母親のおかげでしょう)

 

(完)

 

 

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