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みえないものを、みる視点。

始まる「情報デザイン」の視点:神奈川県教員研修会講演より

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10/20(土)の午後、神奈川県の情報の先生達にデザインの研修を担当する機会をいただいた。題目は「始まる『情報デザイン』の視点」。共通教科「情報」の学習指導要領の大幅改訂に際して、後手に回っている印象のある情報デザインの学習分野だが、神奈川県の情報部会では率先して学ぶ機会を作られている。この日も熱心な先生方がたくさん集まってくださった。

そして研修に先だって事前アンケートを行ったところ、先生方は単なる方法論やスキルではなくて、概念的な理解、学びをどう評価するか、デザイン的な態度、教員はどう学ぶか、などのもっと本質的なところを理解する機会を求めていることが見えてきた。なるほど、自主的にこういう場に来られる先生方は流石に研究熱心だ。お仕事を請負いながらも、こういう機会を活かしてちゃっかり自分の科研のリサーチも進めるのである。何事も一石二鳥。

 

そして少ない持ち時間で検討した結果、

1)講演「情報デザインの再定義」

2)ワークショップ1「ビジュアルコミュニケーションの学びとその評価」

3)ワークショップ2「情報の送受信の文脈差とデザインの関係」

4)全体討論

の4部構成で行くことにした。

 

1)と2)のスライドを公開しておきたい。

www.slideshare.net

 

今回の攻め場は、「情報デザインの再定義」。この分野を立ち上げた須永先生は「定義することは思考停止でもある」と、常に問い直し続け、変化し続けるスタンスを貫かれていたし、それは僕自身よく理解できるけれども、おなじような探求マインドは、専門でない先生方には辛い。そういうこともあって、言葉を整理することに挑戦してみた次第である。切ないけど、他にやってくれそうな人がいないということもある。

 

この日の全体討論を通して、先生達にも高校生にもわかり、かつ持っておくと長持ちしそうなキーワードは、とりあえず「コンテクスト」だな、という思いを強くした。打ち上げで酒飲んだ先生方もこの点には同意してくださった。「図」としての情報(コンテンツ)だけではなく、「地」としての背景の文脈を読み解いてみることその相互作用によって物事が成り立っていることを理解すること。それは難しいことではあるけれど、学んでいくことは可能かと思う。少しづつでもそのような視点を養うことによって、社会や自分の身近な生活を捉え直す解像度は上がっていくのではないか。