Kamihira_log at 10636

みえないものを、みる視点。

CoDesignとは,厄介なもの

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同じ研究グループのSigneの博士論文のプレゼンが行われたので聞きに行ってきた.日本ではこういうイベントは公聴会だけど,欧米ではPhD Defenceと呼ばれる.

彼女の博士論文は「Managing resistance and negotiating co-design: Reflections on troublesome and elusive moments」というタイトルで,ITUのサイトで全文PDFが公開されている.

PhD Defences 2016

 

彼女のバックグラウンドは社会学だそうで,本論文のテーマもCoDesignのプロジェクトで達成できた成果ではなくて,そのプロセスの中にあったさまざまな衝突や不満や困惑といった「厄介なこと」にフォーカスして読み解いていくもの.当たり前だが,CoDesignにはデザイナーの視点だけでみたピュアで都合のいいストーリーだけなくて,何が起こったのかは,関わった人のそれぞれの視点からそれぞれの主観で語られるものである.

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プレゼンが終わったら,ディフェンスの名の通り,論文に対して長時間行われる厳しい質問に対して守りきらなければならない.重鎮のPelleを中心に審査を担当する先生方からものすごい勢いで質問が続けられ,Signeはがんばって応戦している.見ていて結構痛々しい・・・が議論がよく聞き取れなかったので,質疑の時間はほとんど論文読んでいた.前半はGive&TakeProject の前身でもある,3年間にわたる「Senior Interaktion Project」での高齢者との関わりについてで,後半の方では今僕が関心のある複合型のリビングラボのことを丁寧に記述しているようだ.ふむふむ.

2時間の質疑の闘いで無事に防御が達成され,彼女の博士号が認められた.彼女は一見怖いお姉さんだが,言葉の拙い僕にも優しくしてくれてプロジェクトへの参加した時など感謝することも多いので,僕も嬉しい.おめでとうございます.ああ,僕も論文書かなければ.