Kamihira_log at 10636

みえないものを、みる視点。

民主的なデザインについて議論する

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12月14日(月),デザインスコーレのThomasらが論文を出した,とのことでそれを肴にディスカッションする勉強会に参加してきた.Thomasに加えてEva,Joakchim,そしてmalmo大のPelleと豪華メンバーによって2年間議論と推敲を重ね続けて,ようやくパブリッシュされたらしい.参加者は25人ぐらい.こんなテーマでも若い子達集まるんだな.

 

Democratic design experiments: between parliament and laboratory

CoDesign: International Journal of CoCreation in Design and the Arts
Volume 11, Issue 3-4, 2015
Special Issue:   Designing Things Together: Intersections of Co-Design and Actor-Network Theory

 

スカンジナビアンな参加型デザインの伝統を継承しながら,今後の民主的なデザインの試みに繋げていくポイントとして,ANT(Actor-Network Theory)の視点から展望するという内容で,とても勉強になった.なにより過去の理論の系譜のレファレンスが丁寧で勉強中の身にはありがたい.

 

IT Universityの修士学生はANTを叩き込まれると瀬川君が言っていた気がするが,デンマークではどこまでポピュラーなのかと疑問がわいてJoachimにきいてみたら,デザインリサーチの方法としては基本だけれども,何かをつくる時に応用するという意味ではそれほど当たり前に扱っているというわけではないらしい.

 

あともう一点,もちろんANTの知見を取り入れて記述していくことは複雑な関わりあいを描く上で意義があると思うが,具体的なレベルになっていくと,それはサービスデザイン界隈でのタッチポイントの考え方にある,人と物を区別しないで併置するというのはすでに現時点で当たり前な気がするんだが,その動向に対してどう考えるのか,もうすこし突っ込んで聞いてみたかったけど濃い議論に割り込む勇気がなかった.残念.今度Pelleに聞いてみよう.みんな民主的なデザインのあり方に熱く語っていて,政治に関わるというパワーとデザインに参加するというパワーは近い,というか一体だ.