Kamihira_log at 10636

みえないものを、みる視点。

"旅"とは自分の物差しに気付くこと

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スイス—南ドイツの調査旅行から無事に戻ってきた。今回のテーマは自分のグラフィックデザインの基礎知識にしているスイス・スタイルやモダンデザインの系譜とその背景にあるものを、自分の眼で確かめてみること。一人で行ったので家族には迷惑かけたけど、いくつかの行き先はヨーロッパに行くことが決まってからずっと訪問することを夢見ていた場所だったので、それが実現できてこの上なく幸せな体験だった。

 

上の写真は南ドイツのとある街の丘の上からのもので、多くの人にとってはただの風景でしかない場所だろう。これはHfG(Hochschule für Gestaltung Ulm)、通称ウルム造形大学の跡地の裏から見た景色である。そしてむこう側に霞んで見えるのは世界最大の大聖堂である。半世紀ほど前、たった15年しか存続できなかった学校だけども、デザインの世界では伝説的な学校で、ここのカリキュラムが日本にも移植されて、僕らはそれを教科書のようにして勉強してきたし、そこで生まれたいくつかの課題は、今でも僕は(自分流にアレンジして)学生達に課している。

 

この広い空の下に伸びる白い道を歩きながら、同じ場所を戦後ドイツの激動の時代の中で若き日のマックス・ビルが、オトル・アイヒャーが、杉浦康平が、そしてM先生(僕の大学の先生だった人)が、理想を語りながら散策したことを想像すると胸が熱くなった。

 

一人旅でどこに行くのか、何をしたいと思うのか、選択肢を改めて考えるということは普段は見えにくい自分の物差しに気づけるからこそ、なかなか面白い。今回もいろいろと貴重なものを見れたので時間見つけて書いて行きたい。