Kamihira_log at 10636

みえないものを、みる視点。

エストニアのデザイン

f:id:peru:20150918032558j:plain

 エストニアは、旧ソ連の崩壊を経て1991年に再び独立した国。ソ連時代に情報研究機関が置かれていたという資産を活かして情報産業に力を入れ、そして今では"バルト海シリコンバレー"の異名をとるほど立派なIT先進国となったことはよく知られている。フィンランドと同じくエストニアも小学1年生からプログラミングが必修だというし、あのSkypeもこの国で生まれたという。

 

で、情報には必ずデザインがいるはずで、情報産業が盛んなこの国のデザインはどうなってるのだろう、という疑問もあって観光と並行しながら調べてみた。

 

1)上の写真はエストニアのデザインコミュニティが運営するデザインショップ、エストニアデザインハウス。日本で喩えれば、原宿のAssistOnみたいな感じ。テイスト的にはロシアというより北欧系で日本人受けもしそうだ。

 

2)ここで運良くEstonian Design Yearbook 2014をゲット。ありがたいことにエストニア語と英語の二カ国表記。項目を見てみると、伝統的なカテゴリに加えてServiceDesignもあって8件掲載されているし、なんとデザイン教育の取り組みにも賞がある。むむむ・・・。紹介されている事例の中ではこのソーシャルケアサービスが興味深い。

www.hoolekandeteenused.ee

 

3)今回は時間なくて行けなかったが、エストニアデザインセンターという組織があり、そこでデザイナーや開発者たちに向けてワークショップやセミナーをやっているそうだ。へぇ、我々がやっているような公共セクター向けの人間中心デザインによるサービスデザインワークショップも。

 

4)同じくデザインハウスにてデザインセンターが作成しているデザインマップをゲット。デザイン関連の見どころを網羅しつつ、グラフィックも美しく、とてもよくできている。エストニアらしく、アプリ版もあるようだ。このデザインマップだけでなくて、普通の交通ガイドも洗練されている。"地図をどう扱っているかは、その街の文化度合いを写す"というのは NDC Graphicsの中川憲造さんの名言だが、このデザインクオリティはかなり高いと思う。

f:id:peru:20150918041753j:plain

 

中世の面影を残す旧市街と比較して、新市街はひっきりなしに車が行き交い、成長途中の国の活気を感じる。過去の資産を活用した観光業と、先端のIT産業というふたつの産業の軸にあわせて、"人"の観点からのデザインも元気なようだ。

 

エストニアに関する記事:

toyokeizai.net

wired.jp

そのエストニアが実はすごいことになっているのだ。名付けて“eエストニア”。選挙、会社登記、税申告など行政関連業務および市民生活の多くをオンライン で執り行うことができる、デジタル社会のロールモデルとして世界各国の注目を集めている。1年間で、1,000を超える専門家視察団が訪れるという事実か らも、諸外国の関心の高さは明らかで、日本からも経団連をはじめ多くがエストニアに足を運んでいる。