Kamihira_log at 10636

みえないものを、みる視点。

Payment System

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こちらの電車の料金システムが興味深かったので紹介してみる。
こちらでは単発の切符や定期券以外に、Rejsekortと呼ばれる、日本のPASMOと同じような非接触式のICカードがある。デポジットを含んだ上で自分でチャージして、電車・バス・地下鉄などで共通して使えるというもの。


駅にある青いランプにかざすとピコーン、と音が鳴って料金が引き落とされるのだが、面白いのが、その支払い方法である。乗車前、チェックインの際に終点までの運賃をまず引き落とし、下車後、チェックアウトするときに実際の乗った分の運賃が引かれて差額が返ってくるのだ。例えば、チェックインの際に70DKK(1300円ぐらい)がまず引かれて、運賃が20DKK(350円)ならチェックアウト時に差額の50DKK(950円)が返ってくる、という仕組み。つまりチェックアウトしなければ終点までを全額払うことになるので、損しないようにちゃんとチェックアウトしなければ、という乗客の動機付けになる、というわけだ。

ちなみに改札はないので無賃乗車しようと思えばできないことはない。ただ抜き打ちで定期的に巡回していて、チケットを提示できなかったら750DKK(1万3千円ぐらい)が課せられる。間違ったとか落としたとか言い訳はいっさいきかず、問答無用で反則切符のが切られるという(僕は見たことがない)。このへんの金額が絶妙というか、リスクを天秤にかけるとちゃんと買った方が良いわけで、だからみんなちゃんと買っているようだ。

日本の緻密さに親しんだ身からみれば、ずいぶんアバウトなシステムだなぁ、と思うわけだが、違反しないように自動改札にしたり、ヒューマンエラーがおこらないように機械側にチェックさせたりするのではなくて、最終的な「する・しない」が人間の意思に任されるような設計になるあたりに、文化の違いを感じて面白い。

そういえば、こちらでは、アルミ缶飲料やペットボトル飲料には必ずレジでデポジットが加算されている。レシート読んでみてなんかの税金かと思っていたら、リサイクル促進のためだそうで、一本当たり1DKK(約18円)が別途徴収されている。前もって別途預け金を出しておき、自分で飲み終わったあとに回収ボックスにいれるとレシートが出て、レジで返還を受け付ける。回収を促し、動機づけするという仕組みだ。

 

日本人はゴミ出しでちゃんと分別しており(たぶん)、こういう預け金の仕組みは不要だろうし、導入するとしても抵抗があるだろう。でもデンマーク人にはこのような仕組みが必要とされた、ということだろう。


総量ではかわらないはずなのに、こういうお金を動かす仕組みは、損したような気持ちになったりトクした気持ちになったりと、ずいぶんと我々の行動を左右するものである、ということを思った。