Kamihira_log at 10636

みえないものを、みる視点。

研究を再起動する

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風が爽やかになり,季節が急速に秋に向かいつつあるのを感じる.夏休みに書いていた論文を先日投稿して,今日から後期に向けて動き始めた.さっそく後期の計画を立てはじめているところ.

 

さて,我々にとって秋になると言うことは科研費(国が支援する科学研究費助成事業)申請の季節ということでもある.すっかり忘れていたが,昨年度に落ちた基盤研究の申請書の審査結果が開示されていることを思いだして,久しぶりにログインして見てみた.

 

科研費を申請する場合,通常は自分の研究テーマに応じて学術的な分野に分けられた応募領域をえらぶのだが,僕の場合,今はデザイン分野の知というより,学際的な知に対する関心が強いので,「デザイン学」として申請するより越境して闘うことに挑戦したいな,という思いで「特設分野研究」というホットなトピックが扱われるところに申し込んでみた.ちなみに申請書は問題の学術的意義や研究組織,予算計画などA4にギッシリ15ページも書かなくてはならず,相当に骨が折れる仕事である.そして審査委員となる他分野の研究者が納得するレベルの論理構成で書かなくてはならない.

 

というわけで昨秋に書いたものに対して,審査結果開示の通知が8月末.

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審査結果は70件中採択5件で,採択率はわずか7.1%!通常の細目ではほぼ採択率30%が標準的なので,実に狭き門だった・・・.がっくり.

 

その下にはおおよその順位も記されていた.僕の審査の結果は「A」で,どうやらかなり上位,通常の採択率であれば当確だったぐらいには評価して頂いた模様.大学院まであるガチの研究室でもない私大教員にしてはまあ健闘した方かな,とちょっと自信になった.科研費データベースで採択された題目を調べてみると,否の付け所が無く,かつ必要性の高そうな題目(医学とかセキュリティとかロボットとか)ばかりだ.まあ,こんなラインナップの中ではデザインみたいに不確実な知を扱う研究は厳しいよなー.なんで僕はなんでこんな激戦区に挑もうと思ったんだろうかw 変化球の研究は成果に幅を持たせるものではあるけれど,国の予算が厳しく限られているときには当然見送り対象になる.ここでは縁がなかったけど,まあハードな申請書を書くことで自分の問題意識とそれをどうやって実践したいのかはかなり言語化できたし,勉強になったからよしとしよう.