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Kamihira_log at 10636

みえないものを、みる視点。

デザインは死ぬか

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かのブックディレクター・幅允孝氏による企画監修ということで楽しみにしていた「デザイン イズ デッド(?)」を読了。このタイトルには、やはりエンブレム問題が大きな影を落としていて、クエスチョンマークにはデザイン行為をシニカルに語るようになってしまった世の中の人々に対する幅氏からの問いかけが掲げられている。

この本を企画したきっかけは、乖離するデザインの作り手と受け手の間に結び目をつくることが両者の関係を作り直す唯一の方法だと思えたからだ。

<中略>
2000年代、商品の価値をあげる付加価値としてデザインが世の中に行き渡ったのを境目に、デザインは「普通に、そこにあるもの」になった。デザイナーを介さず作られれているものが世の中にないことを皆が知るようになり、デザインコンシャスではないこともデザインの一部になった。そんなデザインの過渡期だからこそ、(残酷だが)いちど「今までのデザイン」には天寿をまっとうしてもらい、新たなデザインに対する考え方を興していくべきだと思える。(まえがきより)

 

そういうわけで、独特のコンテンツとエディトリアルデザインである。この雑多な感じは雑誌というかMookというか。仕事柄たくさんデザイン関係の書籍を読んでいる僕でも、こんな構成の本を始めて読んだ。なにしろ、デザインを解説する冒頭の事例が「孤独のグルメ」w。そして「エンブレム問題から現代のグラフィックデザインを逆照射する」(室賀清徳)、「デザイン批評はいかにして可能となるか」(藤崎圭一郎)、「デザインは社会を変えることはできるのか?」(加島卓)など、専門家達がちゃんと考えるべき問題に対してのシャープな論考があるかとおもえば、後半では業界をまったく知らない人々へデザインを解説するためのゆるいコンテンツが続く、という謎な目次。(ちゃんとそれぞれの章を解釈すれば、コンセプトはしっかり通っているのだけど)。問題意識には共感するし、途中までは大変興奮しつつ読んだけれども、申し訳ないが徐々に尻すぼみしていくように感じた。特に(略)

僕自身はデザインが死んだ(か死んだような状態になってしまった)という見方はピンと来ない。たしかに旧来のグラフィックデザイン業界はエンブレム問題でダメージを受けたと思うが、JAGDA会員からも抜けてしまったし、その時期ちょうど日本にいなかったせいもあってそこまでのリアリティは感じなかったからかもしれない。でもあの閉鎖性は、どこかのタイミングでいずれ表出して問題になったのではないのかな。そもそも「作り手」「受け手」という二元論を持ち出している時点でうーん・・・だしそんな視点で見ているからそう見えるんだよ、と思う。

非の打ち所がないような解をさっそうと差し出して人々を熱狂させる「魔法使い」はもう今の時代には存在しないのかもしれない。でも代わりに、一般の人々にデザインに向き合う責任を生んだはずだし、むしろやっかいなことだらけの現代の状況の中で、プロが率先して人々に示すべきデザインの必然性は高まっているんじゃないだろうか。