Kamihira_log at 10636

みえないものを、みる視点。

ACTANTにJoinしました

f:id:peru:20160607153720j:plain

友人の南部さんが率いるサービスデザインのコンサルティング会社のパートナーになりました.大学での業務はそのまま続けますので,時間を割くことはなかなか難しいですが,並行して参加していきたいと考えています.

 

actant.jp

なんでまたいきなり,と僕を知る人には思われるかも知れませんが,ここのところコンサルティングのような形で企業や自治体から依頼を受けることも増えており,仕事として受ける場合の諸問題に困っていました.そういうわけでビジネス面でのパートナーがいることは心強いことです.これで研究として見出したことをビジネス的に展開できる可能性もぐっと高まりました.

 

なにより,ACTANTは南部さんや武山先生はじめ,少数精鋭の優秀なメンバーが揃っており,彼らと仲間として議論出来ることはとても刺激的なことです.社名のACTANTとはラトゥールのアクターネットワーク理論に由来しています.南部さんの熱い文章からも,彼らが何を目指しているのかが見えてくると思います.

 

actant.jp

ANT の特徴は、あらゆるネットワークを常に揺れ動く動的な状態として捉える点にあります。アクター同士は独特の方法でお互いに影響を与えあっていて、社 会的なネットワークそのものはアクターの行為やつながりがもとになって、常に生成されていくものとして分析される。

 

また、同じアクターであっても、異なる プロセスや文脈においては異なる機能を持つこともあり得る。つまり、ネットワークは有機的な存在であり、空間軸と時間軸を同時に持ったダイナミックなモデ ルとして考えることができます。

 

一番の大きな特徴は、その有機的なネットワークを構成する要素として、アクター=人間だけでなく、動物や自然、あるいは人 工物といったモノの世界も対等に扱う点にあるでしょう。

 

西欧的な考え方においては、人(主体)とモノ(客体)は、お互い決して相容れないものであり、人が モノに従属したり、モノが人を従属させたりすることは否定されてきました。人とモノとの協働性や相互浸透性が正面から論じられることはありませんでした。

 

対して、あらゆる境界を柔軟に考えるANTでは、モノは行為主体であり、周囲に影響を与える中心的な存在として論じられます。

 

ACTANTという社名には、ラトゥールが目指したことを敷衍しつつ、近代デザインの枠組みを批判しながら、もう少し妥当なデザインの枠組みを構築できればいいな、という思いが込めてあります。

 

換言すると、近代デザインを乗り越えた先にあるデザイン的なるものの実践を、営利活動として健全に成り立たせながら取り組んでいく、ということが弊社の目標であるともいえます。

 

未だ形になっていない領域の評価軸や型は未だどこにも存在していません。そのため、弊社では、短期的なクライアントワークでは取り組むことが難しい研究開発的な側面も重視しています。

 

 

忙しい日々ですが,長期的な視点を育むためにも,自分自身の毎日の中にデザインの問題を多角的に捉えられる環境を構築していくことは重要です.大学での教育だけでなく彼らとのシナジーも大事にしたいと思います.