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みえないものを、みる視点。

遠慮なんかしてちゃだめだ

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僕がデンマークに来た1年前から気になっていたクリエイターに、ルネ・フィヨルドがいる。うちの近所にあるOrdrup Schoolや、LEGO PMD(レゴ本社)、マインドラボ(デンマーク政府のイノベーションラボ)などの斬新な空間をデザインした人である。

それと同時にアーティストであり、こちらでは作風は違うが、社会に問いを投げかける深い作品を発表している。

kmhr.hatenablog.com

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ハイレベルなデンマークのインテリアデザインの中でもトップにいるようなデザイナーなので作品を見て勉強するぐらいだったのだが、以前、キュレーターをしているAndreasから「会いたかったら、紹介しようか?」と思わぬ機会をもらったことがある。その時は、ちょっとビビりが入って「忙しい人だろうし、わざわざ僕のために時間とってもらうのは恐縮なので、なにかトークなどの機会が有るときにでも・・・」とやんわり断ってしまった。

 

後になってみて、やっぱり図々しくも会っておくべきだったよなぁ、とずっと後悔していたのだが、先日お別れパーティを開いてもらった時に、そのことをAndreasに伝えたら「未だ間に合う。彼の工房に行くといい」と、土壇場で紹介してくれて会いに行くことに。

 

というわけでデンマーク建築センターの中にある彼の工房を訪ねてきた。天井の高い、とてもステキなスタジオだ。ルネはとても気さくな人で、丁寧に進行中のプロジェクトやアイデアの秘密を解説してくれた。

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とある美術館併設のインスタレーションのプロトタイプ。いま地元民の間ではオープンすることが話題になっている場所である。彼はアイデア検討の初期段階では、スケッチから始めるか、モデルから始めるか、の割合は50:50だそうだ。興味深かったのは、彼はスタイリッシュで遊び心あふれる造形を得意としているが、そのインスピレーションの源泉となっているものの多くは「自然」なのだという。ふむふむ。

 

彼自身は天才肌の人なので、CoDesignのようなアプローチは採っていないないけれども、人々が参加することで徐々に育っていくような場をつくることにはとても関心を持っているようで、今制作中の"カップルや夫婦が分かれたあとに残るリング(指輪)をつかった参加型アートなどの構想を話してくれた。

f:id:peru:20160323000803j:plain彼と2ショットをパチリ。彼はこの日は、4つの仕事(受託したデザインワーク2つと、自主企画のアートワーク2つ)を同時にこなしていた。自分の持つ二つのスタイルをお互いに影響させあいながらパラレルに進めている姿はとても励みになる。

 

たぶん今日が最後の調査となるが最後にここにこれてよかった。まだ大事な仕事はふたつほど終わってないが(汗)。

 

忙しいところ、わざわざ時間割いて会ってくれたルネには感謝してもしきれない。そしてなによりも、人生においていつでもどこでもチャンスが巡って来るわけじゃないのだから、あとで後悔するぐらいなら遠慮してる場合じゃない、図々しく行かなきゃ、ということを改めて思わされた。