先日のこと、リビングラボのことを議論している最中にふと思い立ったので、夕方に話題の期間限定ラーメン店Hrímnir Ramenに行ってみた。コペンハーゲンでは、ラーメンブームが到達して今年になってから新規開店が相次いでいる。このラーメン屋はその中でも特殊なコンセプトを掲げていて面白いのだ。
店主のDavid Quist氏はもともと微生物の研究者だそうで、勤めていた研究所を辞めて、サスティナブル社会や地産地消を推進する方法としてラーメンに着目し、北欧ならではの新しいラーメンのスタイルに挑戦しているそうだ。
ラーメンの内容については木浦さんがレポートした下の記事に詳しい。
取材が終わったばかりのDavidと話すことが出来た。僕が推測したことは当たっていて、自分の思想を具体化し、研究するラボとしてのサイクルと、その結果を人々に提供し、ビジネスとして資金を得ていくサイクルとしてのレストランというダブルのサイクルを一緒に回すことを意識しているそうだ。
オーガニックとか地産地消はNomaなどの新北欧料理にも共通するデンマークらしい考え方だが、一方でデンマークは世界でも指折りの高品質な豚肉の生産地ながら豚骨を使った料理は見たことない。普通に棄てられているんだろう。これまで省みられなかった食材を応用した、新しい食べ方を提案するためのラーメン。持続するビジネスとしてのラーメン屋。なるほど。いい着眼点だ。
「俺の実験の成果・・・それがこの一杯だ!どうだッ!(意訳)」と漫画チックに語ってくれて思わず笑った。
日本人からの評価は気になるらしく、感想を求められたので「トッピングはほぼパーフェクトだけど、スープはもうすこし、麺がまだまだだね」と答えたら、彼らもその課題はすでに把握してて、期間限定というのもそういう課題をクリアするために試行錯誤しているそう。「かん水使えばいいのに」と言ったら「もちろんそれが簡単なんだけど、ヨーロッパ人にはあのケミカルな感じは違うんだよ」と。あの薬臭さががいいのに。
ラーメンコンサルの日本人(というのがいるらしい)を雇って彼が作り方をサポートしているようだが、実際彼はプロに任せるだけではなくて日本で英会話の先生しながらラーメンの研究したそうだ。徳島の拉麺たくみやに影響受けたとか、炙りチャーシューはどこどこの影響だとか、僕も知らないようなラーメン屋の話を振られて吃驚した。
彼と話しながら、これからはますますPlaceの問題が重要になっていくだろうな、と思った。
すなわち、
1)ここだからこそできること
2)何の場をつくるかということ
3)そこに宿る文化を継続的に醸成していくこと
である。
ちょうど僕が行った時に彼が取材受けていたのは、たぶんこの記事か。プロのライターって凄いな・・・。
“I didn’t want to fight in a place where there was no will and only financial obstacles. That’s why I decided I should empower the communities by myself to provoke change by educating and raising awareness about food integrity and ethics,” he said.