コペンハーゲンにあるレンタルサイクルショップ．バイシケリ．一見，ただの自転車屋に見えるが，同時に気鋭の国際開発イニシアチブでもある．
デンマークで増え続ける廃棄自転車と，アフリカにおける安価な移動手段のニーズという双方の問題を同時に解決する手段として，毎年廃棄処分される自転車の一部を修理してアフリカのモザンビークに輸出する，そして現地の価格で販売する，という簡単なビジネスモデルであるが，廃棄物を効果的に活用することで，場所によっては人々の新しいビジネスの可能性を開く貴重な道具になったりもするという相互関係をつくりだしていることはなかなか面白い．
それに加えて，この会社の特徴として，１）寄付や助成金に頼らず，一部はコペンハーゲンで旅行者向けのレンタルサイクルに貸し出し，収益を生み出していること．２）単純に中古自転車を輸出するだけでなく，従業員はアフリカに３年間住み込んで自転車修理に関する知識や技術移転も行っていること，３）アフリカではマイクロファイナンスの仕組みをつくり，現地の人々が自転車を購入してそれを元手にお金を稼ぐことを支援していること．この３点によって現地の自転車産業を誘発する仕組みを構築している，という．よくあるリサイクルの視点だけでなく，持続可能なビジネスになるようにすみずみまで工夫してあるのが素晴らしい．
この会社は，カオスパイロットの学生達によるアイデアが出発点で，創業者たちは専門家のアドバイスを受けながら具体化しつつビジネスへと育てていったという．カオスパイロットはデンマークにあるソーシャルイノベーションを目指すビジネススクールで，留学していた大本さんの紹介によって日本でもよく知られるようになっているけど，実際にここから生まれてベンチャーとして運営している事例はあまり知らなかったので興味深い．
Baisikeli
