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みえないものを、みる視点。

なぜベルギーのビールはかくも美味いのか

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ベルギーといえばビールだが,街のあちこちにあるショップではその場で飲めたりもする.このラベルの豊富さ!この多様な種類から選ぶのを楽しむのがベルギー流らしい.

 

なぜベルギービールはここまで美味しく,そして多様なのか?いくつかの理由があるそうだ.フランスの隣国であり,食文化の高さの影響を受けながらもそれほど良質のブドウが取れずいいワインが作れなかったこと,そしてビールをつくろうにももうひとつの隣国ドイツほど良質のホップが取れないこと,そういった地理的条件から,逆に素材の質だけに頼らない製造プロセスに工夫を重ねてビールの多様性を拡げた,という話を聞いたが,とても納得がいく話だ.

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観光地にあったビールウォール.それぞれの銘柄に合わせた特製グラスがつくられている.ベルギーの人々にとっては,製法の違うビールの美味しさを引き立てるためにもっとも適したグラスをセレクトするのは当たり前のことらしい.

 

そういえば,Genkの小さなホテルのバーカウンターで2つの銘柄のボトルを買って,部屋にテイクアウトしようとした時,運ぶのが大変だからグラスは一つでいいよ,と言ったらオヤジに悲しそうな顔で説教されたことを思い出した.一瞬,面倒な人だなぁ,と思ったけど,ふと義父から聴いた話を思い出して我に返る.

 

義父はある時,フランス人と会ったときに,「美味しいワインを教えてくださいよ」という話を振ったらしい.まあ日本人としては,共通する話題も少ないし,場を繋ぐためにそういう質問をするのはわからなくはない.そしたら,そのフランス人は「ワインは料理や空間に合わせて選ぶものであって,ワインの美味しさというのは,それ単体で成り立つものでない」というような冷たい返事をくれたらしい.義父は「いやー,目からうろこがおちたね」と言っていたが,僕はこのエピソードが大好きで,たまに授業でも使う.ワインと同じでこれを選べばOK,というような美しい色とかフォントが単体で存在しているわけじゃない,合わせ方次第なんだよと.

 

人から聞いたネタをつかって授業では偉そうにそんなことを言っておきながら,「グラスは同じでいいよ」という反応になってしまうのは,経験に対するこだわりの低さを露呈していることに気付かされて,恥ずかしくなる.

 

制約や葛藤こそが創造性を拡げるものだし,それぞれの文化的土壌の中で,人々の要求レベルの高さが成果物の質を磨くものだ.だから,自分ももっと経験を味わうことにだわっていかなければ・・・・,とそんなことをビールを目の前にして考えた.なんてことはなく.ただただ絶叫するほどの美味しさに,ごくごくとむさぼるように飲んで酔っぱらったのであった.