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みえないものを、みる視点。

コラボレーションは距離の近さから:ルンド大訪問

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25日(金)の午後、打ち合わせでスウェーデンのルンド大へ。ルンド大は日本ではあまり知名度無いと思うが、スウェーデン屈指の名門で、あるランキングでは北欧でNo.1らしい。

ルンドの街は、ケンブリッジのような大学を中心としてできたというが、駅降りてバスに乗ってその巨大さにびっくりした。なんという広さ。北海道大より広い気が。

 

で、目的地はここ。IKDC(Ingvar Kamprad Designcentrum)というビル。Ingvar Kampradというのはイケアの創業者で、この巨大なビルは彼の寄付で建てられたデザインセンターだそうだ。ちなみに、IKEAIngvar Kamprad Elmtaryd Agunnarydの頭文字である。

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中には工学部デザインサイエンス学科デザインスクールを中心に、デザインと関連のある研究室がまとまって入っている。

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ここのアイデアプロダクトラボを率いている教授のOlafに案内してもらった。

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3Dプリンタやレーザカッターを積極的につかっていろんな試作をしている。ここは工学部主体ということで、3次元プリンタそのものをつくったり、人間には作れない3次元形態を実体化したりと、マテリアルとしての可能性に挑戦しているようだ。

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 学生達がレーザーカッターで試作している。3Dプリンタも練習用、プロトタイプ用、産業用、金属とか食品とかさまざまなマテリアルを出力するもの、とグレード毎に20種類以上は揃えている。これまで見た大学の中でもっともリッチ!

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Olafたちが趣味で作ったというドラムセット。このボディ部は3Dプリンタで作ったらしい。触ってみたけどほとんどチープ感無い。ここまで完璧なパーツ作れるのか。

 

www.youtube.com

3Dプリンタで作ったギターが沢山あった。そしていろんな楽器をつくって、世界で初めて3Dプリンタ楽器のバンドでコンサートしたらしいw

 

www.lunduniversity.lu.se

 

 

 

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ユニークなのが、このエンジニアリング主体のラボとプロダクトデザインのラボが一体化していること。両方の学生がどっちも自由につかえるようにしているそうだ。もちろん、それを狙ってルンド大はこのデザインセンターを作ったんだろう。

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デザインスクールの学生が一人でコツコツとプロトタイピングしている。これはアアルトにも通じる方法だが、毎日顔を合わせているほうがコラボレーションには絶対に効果的だ。デザインの学生があの設備みて、やる気が発火しないわけがない。なるほど、先日みたTomorrow Collective展の展示品クオリティの高さはこのラボが理由か!

 

イケアが資金だしたってことは、ビジネスとしての未来を見越しているんだろうな。イケアは3Dプリンタやレーザーカッターなどを利用した、来たるFab社会の中で、オンデマンド型の家具や日用品を作ることを真剣に検討していると見た。

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Olafのオフィス。デザインセンターのてっぺんから素晴らしすぎる眺望。ここでは工学系の教員もデザインスクールの教員も同じフロアで顔を合わせやすいようにまとめられているそう。自分の経験からもランチを一緒に食べれるような物理的な距離の近さは共同研究やカルチャーの伝播に本当に重要だ。うーむ、世界の一流大学はコミュニティの設計からして優れている・・・。

 

以前から温めていたアイデアをもとに、しばらくOlafとディスカッション。面白がってくれたので共同研究にでもなればいいのだが。いかんせん時間が減ってきているので悩ましい。

 

 

■参考記事

イケアの真髄は、デモクラティックデザイン・・・。

toyokeizai.net

■2012-13年にサバティカルでルンド大に滞在された友人の伊藤先生のブログ

スウェーデン:大学の様子 | 千葉NT・SIE教員の日記