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みえないものを、みる視点。

【LOUISIANA #2】人々の発想をあつめるプラットフォームと、その先。

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ちょっと時間経ってしまった。9/16(水)は、ルイジアナプロジェクトの第二回。(第一回の様子)

早朝からルイジアナ美術館近くの、とある学校に向かう。こちらの学校は朝8時から授業があるそうで、午前中ぶち抜きで全部ワークショップに使うという。子ども達は7年生の13歳。デンマークの学校の教室にはじめてはいったが、スクリーン+電子黒板と通常の黒板を併用できるように良い感じで電子化されている。

この日はRasmusが僕のためだけに、デンマーク語でのインストラクションのあと英語に翻訳しながらスピーチしてくれた。誠に感謝の限り。

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最初のワーク。自宅から学校までの通学路の「メンタルマップを描いてみよう」。みんな楽しそうに地図を書きはじめた。

f:id:peru:20150918234607j:plainこの女の子はとても上手だった。この年代で想像で鳥瞰図かけるのは素晴らしい。つい、君は空間把握能力あるね、きっと建築とかデザインとか向くよ、と褒めたらもの凄く喜んでいた。デンマークも(いや世界中そうだろうけど)中1世代ってのは女の子たちマセているな。

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やんちゃっぽい男の子も元気に発表している。ちなみに奇遇なことだが、僕も大学生相手に似た課題をよくやっている。「変形マップ」と言って違う物差しを基準にして歪みを比較するインフォグラフィックスの課題だ。年代の差が興味深い。彼らの資料でしったけど、メンタルマップってケヴィン・リンチ「都市のイメージ」が出典だったのか。

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次はデジタルワーク。「はいみんなタブレット出してー」で全員がカバンからすぐに取り出した。担任の先生によるとデンマークの子達はみんなタブレットを持っているらしい。へぇ。このアプリは、googleマップに指でポインティングながら通学路を描いているようで、こちらでは位置関係に基づいた正確なものが書ける。とくにサブモニタもないのにみんな初体験でピシッと出来るから凄い。

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何を狙うものかと思ったら、ポイント毎にそこでどんな感情がおこっているか、のフェイスアイコンでマーキングしていくようだ。なるほど先のメンタルマップと二系統で彼らの日々の体験を描いてみるということだな。これはウェブアプリなので簡単に投稿・集計できる。

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そして次のワーク。遠近法をつかったパース図の描き方とそれを連結してコマにしていいく。シリアルビジョンという1人称の体験を記述するためのメソッドらしい。

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参考写真をみながらみんなで3枚ぐらい練習する。みんなそれほど抵抗なく描いている。

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次はフィールドワーク。校庭に出て、写真を撮ってくる。

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次は彼らのつくったアプリでコラージュしていく。このアプリには最初から沢山のパーツが入っているようだ。それを撮影した写真の上にドラッグ&ドロップして描いていく。

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ピンチイン、ピンチアウトで拡大縮小しながら、簡単にイメージを形にすることができる。なるほどそれで先にシリアルビジョンみたいな体験の描き方を教えていたわけか。ただここで何を目的にコラージュしているのかがちょっとわかりにくかった。校庭の問題解決を描くというわけではなく、どういう願望がみえるかを、わりと自由につくっていいらしい。

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わいわい言いながらみんな楽しそうに作業している。うるさくなりすぎて先生に「静かにしろ!」と怒られるところなど、日本の中学生と全く同じであるw

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やっぱりアプリでものづくりするという体験は新鮮なようで、おとなしそうな子達もとても集中してコラージュ作って遊んでいる。デジタルとアナログワークの長所をうまく組み合わせているのがいいな。

デジタルワークは、サーバーにポストして一覧化されているし、アナログな絵もデータとしてまとめるようで、プラットフォームとしてうまく仕組みを作っている。

 

というわけで、ここまで教室内でエクササイズをやった上で、宿題がでたようだ。

自転車の通る危険な交差点に関するビデオをみんなで見たあと、それを参考に、みんなで場所を決めて、街の中のある場所を観察と分析する。どんな問題があるのか、あるいはどんなポテンシャルがあるのか。グループで街の人2,3人にインタビューする。あなたなら代わりにどう使うか?どうよくすることができるか?など。(Vox Popという方法があるんだな)インタビュー結果を受けて自分たちで議論する。自分にとってよくなること、他の立場の人の視点でよくなるかもしれないかもしれないこと。など。その議論をふまえて未来のためのアイデアを発想する、というもの(要約)。

 

なんと、13歳に対しても、自己満足ではない利用者の立場に立った視点での提案にとりくんでみる、という課題だ。これはレベル高いし、彼らがどう答えるのかとても楽しみだ。

 

Rasmusと話してて、彼らのデモクラティック・デザインアプローチを聞いたので、手書きで図解で確認しながらメモ。

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 市民を巻き込み、彼らがどう考えているのかや発想を集めること、そのためのプラットフォームをちゃんと整備すること、そしてそこにあつまったものは判断材料であって、決める決定権を持つのは政治家であり、建築家であり、デザイナーである、そしてその判断基準や何を吸い上げるかは人によって(視点によって)異なる、と。なるほど。多数決ではなく、特定の人に判断を委ねることに対してはみんな合意しているようだ。そういう役割を決めて、その人が決めた後は従う、というのはそうしないと収集がつかないことを経験的に知っているのだろうな。

見方を変えると、決める立場の人がよい判断と発想ができるように、情報をインプットすることにみんなで協力している、とも捉えられる。つまりフォロワーシップ

 

次回に続く。