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みえないものを、みる視点。

難民問題はむずかしい

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9月11日(金)の夕刻、所用でスウェーデンのmalmoに行ったら、駅前の広場ではちょうど難民の方々が大量に到着していてごった返していた。かれらはシリアから電車やフェリーなどを乗り継ぎ、あるいはなんと徒歩でやって来ているらしい。

 

そして難民の数と同等ぐらいの衣類や炊き出しなどの支援者の集まり方に驚いた。スウェーデンはドイツと並んで難民の受け入れに積極的なんだそうで、歓迎する熱気を感じる。それに対して、デンマークは・・・。

www.newsweekjapan.jp

デンマークでは、6月の総選挙で中道右派が勝利を収めて以来、ヨーロッパの人道主義からは距離を置き、難民問題に厳しい姿勢を取り始めた。 2014年にデンマークは前年の倍の1万4,815人の難民を受け入れたが、今年は5月で既にその人数を上回った。いつ途絶えるともわからない難民数の急 増に対し、対抗策を取ると決めたわけだ。

6月の選挙で(反移民政策をとる)現連立政権が勝ったことで、こういう政策になるのは予想されていたこととはいえ、なかなか切ない。まあそういう政党が躍進するのも、デンマークは過去何十年も労働力問題を解消するために早くから難民や移民の支援に積極的に取り組んできたのに、結果的に自国でテロリストを育てることに繋がってしまった(2月のテロ事件)という悔しさがあるのかもしれないが・・・。

それでも、世論は拮抗しているので、「政府は恥を知れ」的な、凄まじいデモがあちこちで起こっている。

 

土曜の国会前の集会では 4万人が集まったらしい。僕のデンマーク人の友人達も大勢参加していたようだ。ちなみに今のデンマークでは難民を個人的に支援することは違法になるらしいが、ボランティアで支援が始まっている。

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 デモ前に電車内で「Welcome Refugee」のポスターを作る若いカップル。とそれを不思議そうに見るうちの1歳児。

難民の問題はあまり身近ではないのでピンとこなかったが、ここ数日の変化を肌で感じたことで、否が応でも「自分はどうなのか?そしてもし北朝鮮が崩壊した場合、大挙して難民が来たら日本はどうするか?」の答えを考えることを突きつけられる。もちろん人道的に受け入れすべきと答えるのは簡単なことだが、実際問題として考え方が違う人々がおなじコミュニティに属するとなると、いろいろ慎重にならざるを得ないことも起こるのだろう。例えば、難民の彼らは、特定のリッチな国を選んで移動したり、現地の習慣に染まろうとしない、言葉を覚えようとしない、といった利己的なところもあったりするわけで。

 

この問題は短期間では解決しそうにないから難しい。でも今先進国で平和に住んでいる人々の祖先だって、何百年、何千年も前はみんな移民や難民だったはずなんだけどな。ボーダーは人為的につくられたものであり、国の栄枯盛衰もある。実はそれほど不変的なものではない。