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みえないものを、みる視点。

デザインリサーチ

クリエイティビティを生む多層的な仕組み:エグモントホイスコーレン訪問

10月22日(木)。エグモントホイスコーレンを訪問してきた。ホイスコーレンとはデンマーク独自の教育制度で、年齢制限をクリアすればだれでも学びにいくことができる学校である。比較的短期間でも在籍できるので、デンマークの人々は自分の可能性をさぐるた…

不屈のデザイン運動体の輝きを見た:ウルム造形大学アーカイブより

10月19日(土)、フライブルグからウルムに移動した。この街は世界最大の大聖堂で有名だけれど、今回の旅の最大の目的地はこの古ぼけた校舎。デザインを学んだ者なら知らない人はいないHfG、通称 "ウルム造形大学"の跡地である。ちょっと前まではウルム大学…

人々が議論を楽しめるような仕組みを作ること:スイスで見た二つの展示

バーゼルの歴史博物館に立ち寄った際、「Point de swiss」というとても興味深い展示をやっていた。パブリックスペースとインターネットで収集したデータをベースにした統計のアートプロジェクトである。国民にプレイフルなサーベイ方法で根掘り葉掘りいろん…

全てがデザイン:ヴィトラデザインミュージアムのバウハウス展より

10/15日(木)。ヴィトラデザインミュージアムで開催中のバウハウス展を見学。今回のルートからかなり外れているのでバウハウス資料館への見学は断念したのだけど、偶然にもヴィトラデザインミュージアムに立ち寄った際に展覧会を開催しているとは、なんとい…

タイポグラフィの聖地、チューリヒとバーゼル

グラフィックデザインのセオリーとして50年ほど前にスイスから発信されたタイポグラフィ、通称スイス・スタイルは今日まで大きな影響をもつ。しかしながら、僕ら外国人としてはなかなかスイススタイルを生み出した文化的な背景までは理解することができない…

【LOUISIANA #2】人々の発想をあつめるプラットフォームと、その先。

ちょっと時間経ってしまった。9/16(水)は、ルイジアナプロジェクトの第二回。(第一回の様子) 早朝からルイジアナ美術館近くの、とある学校に向かう。こちらの学校は朝8時から授業があるそうで、午前中ぶち抜きで全部ワークショップに使うという。子ども…

デュアル・ファシリテーションの可能性

うう、忙しくてブログ書く時間もなくなってきた。9月21(月)、22(火)は終日、Give&Takeのコンソーシアムのミーティング。普段なかなか会えないデンマーク・オーストリア・ポルトガルの3カ国のメンバーがみんなメインの仕事休んで王立デザインスコーレの一室…

デザイン・ドリブンによる街づくり:ヘルシンキデザインウィーク

ヘルシンキ出張についての続き。この時期にヘルシンキを訪問したのは、ちょうど世界中からデザイン関係者が集まるヘルシンキデザインウィークが開催されるからである。ヘルシンキはデザインによる市民中心の街づくりを標榜し、Design Driven City Helsinkiと…

【LOUISIANA #1】好奇心は育てるもの:建築&都市デザインのワークショップ

友人のArki_labのみなさんがルイジアナ現代美術館からハウスアーティストとして任命され、プロジェクトを企画しているとのこと。デモクラティックなアプローチを得意とする彼ららしく、地域の具体的な問題解決に取り組みながらも、地元の4つの学校と連携し…

街全体でデザインのエコシステムをつくる:南デンマーク大学とコリング市再訪

24日(月)、コリングにある南デンマーク大学のコリングキャンパスを訪問。ここで准教授をしている友人のRobbが案内してくれた。先日訪問したデザインスクール・コリング(過去記事はこちら)のすぐ隣で、お互いに刺激し合っているらしい。キャンパスは外観…

デザインと人類学の境界領域を探る会議:The Design Anthropological Futures

8月の13日(木)と14日(金)、王立デザインスコーレで国際会議The Design Anthropological Futuresが開催された。いつもお世話になっているThomasたちが主催していることもあり、地元コペンハーゲン開催だしと気軽な気持ちで出かけたが、会場に行ってみたら…

コソボの若者達がデザインで自国を変えていく可能性を見た:王立デザインスクール卒展から

8月5日(木)、近くにあるデンマーク王立デザインスクールの卒展を見に行く。海軍の施設をリノベーションした重厚なキャンパスの一角にあるギャラリー。 しばらく展示しっぱなしのようで、夏休み明け直後ということもあり、ほとんどお客さんもいない。 ここ…

電車が便利になるのは誰だ

電車を、車いすの人でもつかえるようにバリアフリーとしてデザインすることで、ベビーカーにとっても優しくなる。さらに同じ車輪の乗り物である自転車の運搬も行いやすくなる。特定の障害者のために作ったものであっても、結果的に健常者の役にも立っている。

子供と一緒にデザインする方法

ここのところ、デモクラティック(民主的)アプローチのデザイン事例をジャンル問わず集めている。これはNørrebro地区にあるGuldberg skoleの校舎。3階から伸びている滑り台は、学校帰りに階段を駆け下りずとも"ヒュ〜とワープして一気に下校することができ…

"だからこそ、デザインが大事なんだ"

7/15(水)は都市デザインの事務所、Arki_labを訪問。先日知り合った縁でオフィスでまでお邪魔し、研究のためのインタビューさせていただいた。惜しげもなく手の内を教えてくれて、感謝の限りだ。 写真は、彼らが作ったarki_nopolyという子供や市民を巻き込む…

「労働者博物館」における体験のデザイン

先日書いたエントリに関連して、参加型デザインが成立した社会的な背景を調べている。その中で「労働者博物館」なる変わったミュージアムがあることを知ったので、早速訪問してみた。 この博物館は街の中心部の良い場所にあるのだが、エントランスをくぐると…

参加型デザインの原型

先日訪れた国立博物館で興味深い事例を見つけた。1902年からから1964年まで存在したコペンハーゲンのビール醸造所「STJERNEN」(英語で「STAR」の意味)。北欧は古くから社会民主主義の背景のもとで労働運動が盛んだったことは知られているが、ただ権利を叫ぶ…