Kamihira_log at 10636

みえないものを、みる視点。

デザインリサーチ

「付箋を貼って進めていくアレ」は、ただ付箋を貼っているわけではない

先日、興味深いまとめ記事をみた。 グループで討論して付箋をペタペタ貼っていくようなワークは、現在広く行われているが、「はたしてあれは効果があるのか、最後に完成したものは写真映えはするが、終わったあとに何も得るものは無いし、 残るのは、みんな…

デザインの学びからみた「デザイン人類学」の可能性

11月8日(土)、武蔵野美術大学デザインラウンジにて開催された、Xデザイン学校公開講座「エスノグラフィーとデザインを考える」にて登壇の機会をいただいた。社会人向けデザインスクールのXデザイン学校にはここ数年、あまり世の中で語られてないことについ…

古い船をいま動かせるのは、古い水夫じゃないだろう

フィンランドにYrjö Sotamaa(ユルヨ・ソタマー)という人がいる。フィンランドの名門大学・アアルト大が生まれるきっかけを作った重要人物である。 4年前に訪問した際に書いたブログ記事より。 研究内容に加えて、なによりもコラボレーションを前提として作…

アラスカで見た人形に、デザインの本質を見た気がした

Tea doll. Fairbanks, Alaska,USA 2009 _______ これは2010年の夏、私がアラスカのフェアバンクスに一ヶ月ほど研究で滞在した時、現地の人形コレクターの女性の家で見せてもらった人形です。一見して年季が入った手作りのもので、21世紀の今の私たちの目から…

「当事者」をとらえるパースペクティブ

日本デザイン学会の機関誌であるデザイン学研究の「当事者デザイン」特集号に寄稿しました。発行されるのは当分先だし、アカデミアの人以外には届かないコンテンツなので、ここで初稿を公開しておきたいと思います。ウェブで読みやすいように一部の体裁は変…

日本デザイン学会当事者デザインセッション資料

10月13日に函館で開催された,2017年度日本デザイン学会秋季大会 企画テーマ討論会「共創・当事者デザイン」で指定討論者として参加してきました.上平のスライドと配付資料を公開しておきます. 共創はいつ,どこで起こる? from Takahito Kamihira 配付資…

『Designing for Service』の翻訳出版プロジェクトがスタート

イギリスで今年の2月に出版された『Designing for Service』の翻訳出版をめざすクラウドファンディングのプロジェクトが動いているようだ.この本はServDesというサービスデザインを研究している欧州の研究コミュニティが中心になってまとめたもので,いわゆ…

【前編】ノンデザイナーは、いかにデザインに関わっていくか?

ちょっと間が開いたが、ブログ読者からのお問い合わせに答えてみよう、の第2弾。質問者の方は大学では文系の学問を学んでいたそうで、社会人になってしばらく経ってからデザインを学びたいと考えておられるそう。そこで頂いた質問は、「いわゆる"デザイン"…

遠慮なんかしてちゃだめだ

僕がデンマークに来た1年前から気になっていたクリエイターに、ルネ・フィヨルドがいる。うちの近所にあるOrdrup Schoolや、LEGO PMD(レゴ本社)、マインドラボ(デンマーク政府のイノベーションラボ)などの斬新な空間をデザインした人である。 それと同時…

市民に開かれたアートスクールの制作環境:GODSBANEN

2月19日。デンマークで二番目に大きな街、オーフスを訪問した際に、GODSBANENに連れて行ってもらった。ここはオーフス市営の「カルチュラルプロダクションセンター」とのことで、クリエイティブ関連の場所がたくさん設置されている。GODSBANENは「アートとビ…

ラーメン屋にて、Placeの問題を見出す

先日のこと、リビングラボのことを議論している最中にふと思い立ったので、夕方に話題の期間限定ラーメン店Hrímnir Ramenに行ってみた。コペンハーゲンでは、ラーメンブームが到達して今年になってから新規開店が相次いでいる。このラーメン屋はその中でも特…

廃棄物専門スーパーWeFoodでの顧客体験を考えた話

先週のこと、世界初の廃棄物専門スーパーマーケットwefoodが大学の近くにオープンした。いわゆる賞味期限間近のものを格安で仕入れるディスカウントストアとは違って、「廃棄物」扱いになった品物を提携先から寄付してもらって売る、という世界初の試みらし…

プロトタイプをテストする

エグモントホイスコーレンの学生さんたちに協力してもらって,現在制作中のツールキットのテストしてみた.エグモントは障害者のみなさんと健常者のみなさんが24時間生活しており,リアルな生活の状況から新しい発見をする,ことを可能にする場としてかなり…

どうやって街の情報収集をするか?

コペンハーゲンは小さな街なので,「地球の歩き方」レベルの観光目線で街を歩くと1週間も滞在すると見るところが無くなってしまう.そんなわけで日本からデザインを勉強したい,と期待して視察にやってきても,ミュージアムやショップ以外の面白い場所を探…

官と民の近さ

コペンハーゲン中央駅からすこし南に歩いた地区に,昨年11月にSPACE10というクリエイティブスペースができた.IKEAの作った街の中のラボである. www.space10.io wired.jp 12月の後半にちょっと様子を見に行ってみた.1Fはギャラリーを中心としたスペースに…

STPLN:ソーシャルイノベーションのためのメイカースペースin Malmö

1月18日(月),スウェーデンのMalmoにあるメイカースペース,STPLNを訪問した.ここは市民を巻き込んだリビングラボの活動も行っている.外観はゆるやかなスロープ状の変わった建物だが,倉庫だった建物を再利用しているらしい.malmoは半世紀前は造船など…

デンマークにおける公共スペースのデザインプロセスのモデルプログラムの整備がすごい

Modelprogram for fremtidens velfærdsinstitutioner ネットで調べものをしているときにこの取り組みを知った.デンマークにおける公共スペースのデザインプロセスのモデルプログラムがオンラインで整備されている.どこがイニシアチブをとっているかは不明…

継続的な信頼関係をつくること

1月12日(月)午後.あいかわらず天気悪い日が続くが,Give&Takeのリビングラボのお手伝いでフレゼリクスベアにある老人ホームへ行く.デンマークの老人ホームには初めて訪問したが,立派な建物だ.こういうところまで洗練されているとは思わなかった. お年…

"フォーカスグループなんかしない"

タイガーラボの所長のフェデリコ氏へのアポが取れたので,さっそく会いに行ってきた.彼に「デンマークで一体何を研究しているんだ?それにも興味がある」とメールで言われたので,ここぞとばかりに資料つくってプレゼンしてみた.ここ数日の突貫工事だった…

【後編】デザインのために“問いかけつづける”こと:SanseSlottetデザイン幼稚園訪問記

【前編】から3ヶ月ほど空いてしまったが,デザイン幼稚園の見学記の続き.前編で紹介したように,この幼稚園は大変興味深い取り組みを行っており,まずは引き続き取り組みや施設を紹介したい. 既に紹介した施設の他にもさまざまなアトリエが用意されており…

廃棄物から持続可能なビジネスへ:バイシケリ

コペンハーゲンにあるレンタルサイクルショップ.バイシケリ.一見,ただの自転車屋に見えるが,同時に気鋭の国際開発イニシアチブでもある.デンマークで増え続ける廃棄自転車と,アフリカにおける安価な移動手段のニーズという双方の問題を同時に解決する…

TIGERのラボができたらしい

ロンドンに留学中のT君がコペンハーゲンに来たので,ビアバーに連れて行こうとしていたところ,その近くにあったTIGER(日本ではフライイングコペンハーゲンタイガー)のカフェがいつの間にかラボに変わっているのに気が付いた.ちょっと前までSpilBarという…

ヘルスケアのリビングラボを見学する

12月2日.安岡さんと一緒にオーデンセにある某研究開発施設を訪問.ここは数年後,大型病院の建設が予定されており,最先端の医療機器や医療の取り組みが導入される準備中ということで,活発に開発が行われており,その方法としてリビングラボを活用している…

デンマークと日本のジョイントセミナーを見学する

11月25日は,DTUで開催されたデンマークと日本のジョイントセミナーに参加.いつの間にか一ヶ月経過してしまった(汗),DTUの安岡さんとデザインコンサルテンシーのActantと日立デザイン本部によって企画されたもので,ヘルスケア・ビッグデータ・行動経済学…

図書館の意味を再考した日

英国の大学院に留学中のS先生がコペンハーゲンに来られて,いくつかの図書館を一緒に回る機会が有った.僕自身,普段週に1回ぐらいはどこかの図書館を利用してるが,基本的にオフィスだとだらけがちな午後に執筆に気分転換して集中するための利用なので.あ…

民主的なデザインについて議論する

12月14日(月),デザインスコーレのThomasらが論文を出した,とのことでそれを肴にディスカッションする勉強会に参加してきた.Thomasに加えてEva,Joakchim,そしてmalmo大のPelleと豪華メンバーによって2年間議論と推敲を重ね続けて,ようやくパブリッシ…

街の中の実験室:DE ANDERE MARKET

TRADERSプロジェクトに参加している最中に,Genkの街の中にあるDE ANDERE MARKETを何度か利用した.街の中でデザイン&アートプロジェクトで人々を巻き込む拠点となる場所であり,いろんな実験をするリビングラボである.市がお金をだして,2年間限定で開か…

TRADERS Autumn Schoolに参加してきた

11/9-13にベルギーのGenkという小さな街で開催されたTRADERS Autumn School: on the role of Participatory Art and Design in the reconfiguration of work (in Genk)に参加してきた.とても濃い5日間の経験をしたので簡単にまとめておきたい. TRADERS Pr…

認知症の人々と共につくるデザイン

日本から高齢者のコミュニティの調査に来られた研究者と飲んでいる時に,ふとRitaのことを思い出した.元気にしているかな.彼女はグラフィックデザイナーで,高齢者の認知症の人々を対象に,コミュニケーションデザインは如何なる可能性を持つのか,という…

持ち運べるラボ

10月30日(金)、たまたまクリスチャンボー城の前を通りがかったら、突然、FABLAB RUCのコンテナが置かれているのを発見した。RUCというのはコペンハーゲンの近くにある総合大学のロスキレ大学のことで,そこで運営しているfabLabのようだ。なんとコンテナご…