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みえないものを、みる視点。

オブザベーション

悲しい泥

これは何に見えるだろうか? 泥?そう、なんてことのない乾いた泥である。 実はこの泥、落下したツバメの巣である。 毎年うちの大学の棟にはツバメが巣をかけ、ある時期はとても賑やかになる。でも今年はヒナの声がしないなぁ、と思っていた。エレベータで乗…

【ミャンマー訪問記#3】建築家なしの建築

ミャンマーで見たかったものの一つが、人々の住居。西ヤンゴン大学に向かう途中の郊外には、高床式住居が林立していた。こういったセルフビルドの家は身近で入手できる素材が基本となるが、このあたりではヤシの葉、そして竹をつかっているようだ。高床式は…

【ミャンマー訪問記#2】日常に根付く「祈り」

ヤンゴン滞在でもっとも印象に残ったのは、シュエダゴン・パゴダ(Shwedagon Pagoda)で見た人々の姿である。シュエダゴン・パゴダは、ミャンマー仏教の総本山としてミャンマー人の聖地であり、最も有名な観光地でもある。夜に訪れると中央の塔がライトアッ…

人をファンにさせるものは

先日、渋谷を通った際に、ふと思い出して池尻大橋の住宅街の中にあるアパレルショップを訪問してみた。以前代表の木村昌史さんのインタビューを読んで気になっていたのだ。 ALL YOURSという名前の、びっくりするぐらい小さなお店である。試しに一着購入して…

学食というサービスの明暗

大学に入っている学食の運営会社が急遽倒産したそうで、野次馬根性丸出しで見に行ってみた。パートさんたちの怒号が飛びかい現場は混乱していた・・・ということもなく、春期休業中なので閑散としている。(ちょうど契約を終えたところだったそう。事業を続…

タイムスリップしたような温泉体験

帰省した時に実家近くの温泉に行ってみた.旅館併設のキレイなところではなく,いちばん鄙びた地元民向けの「共同湯」を目指す.写真のとおり,ここは昭和の香りがそのまま今でも残っている. 共同湯の内部は木造だ.こういう本気の昭和感は都会ではもうなか…

35年ぶりのラジオ体操

こどもたちが夏休みに入り、近所のラジオ体操に行き始めたとのことで、僕もちょっと早起きしていっしょに参加してみた。いつでもどこでも体操の音楽はかけられるようになった現在でも、地域の人達がNHKラジオの時間に合わせてあつまって一斉に体操するという…

コンピュータルームの矛盾

1年生向けの情報表現演習は例年端末室(コンピュータルーム)で行っているが、一方でうちの学部の学生は全員MacBookAirを配布されているので、そっちで宿題することになるし、使い勝手がよいのでみんな狭いスペースに無理してMacを並べる、という本末転倒な…

学びの場を観察する

5月某日.研究室の学生達と,フィールドワークとして神奈川県立の某高校を訪問.高校1年生の情報の授業を見学し,担当のY先生とディスカッションした.高校の情報の授業と言えばOffice系のアプリケーションの操作程度という印象を持つ方も多いかも知れないが…

「コロンブスの卵」的なテーマパーク

先日,妻が招待券をゲットしたので豊洲のキッザニアに行ってきた.平日の夕方ということもあって割と空いている.ここは子持ちでない限り来ないところなので,僕はオープンから10年経って初めて来る機会が出来たのだが,以前噂に聞いた通りに「よく出来てい…

雑草による花壇を見て考えた

子供といっしょに歩いて居る時、ナガミヒナゲシがあちこちに繁殖しまくっていることに二人で気がついて、"悪い植物"の話になった。 「このお花はなぜ悪いの?」という小1の素朴な質問に、善い奴・悪い奴を人間の都合で勝手に決めるのはなんだか思考停止な気…

防犯装置としての隣人

この記事をお読みのみなさんに質問です。あなたは、日本の都市部のスタバでパソコンを広げて、たくさんのメールに返事してる最中に、ふとトイレに行きたくなったとします。さて、このような状況になった時、どうしますか? 1)そのまま放置して行く 2)怖…

他者が手助けすることでまわる仕組み

最近書いていて面白いのは「オブザベーション」カテゴリである。オブザベーション(観察)はあたりまえのものごとを微細に見てデザインの発想源にするトレーニングとして知られているが、僕の場合は特に現象の背後にある「見えない因果関係」を見いだすこと…

正月エクスペリエンスの抜け殻

4日の朝、マンションのゴミ捨て場に入って、見たこともないようなゴミの量が溢れていて、実にびっくりした。比較対象として息子(120cm)を入れてみる。うちは大規模な集合住宅ではあるのだが、たった年始の数日でここまでゴミが出るものとは。 いうまでもなく…

主観的な感覚を計測する

某大学病院の小児病棟にて.ベッドからナースコールで呼び出して「痛い,痛い」と訴える子供の患者と看護師さんがこのスケールを用いてやりとりしているのを見て,たいへん興味深かった. 痛みってのは主観的な感覚で他者には理解しえない.それをおおまかに…

ブリコルールの創造性

自宅マンションは、子育て世帯がとても多いところなので、ゴミ捨て場には大量に粉ミルクの空き缶が捨てられている。掃除のおじさんたちは、その缶を再利用して掃除用具の収納をつくっている。同じブランドで揃えることで統一感を出しているのにセンスを感じ…

近所で発見した参加型デザイン事例

先日、下の子がお気に入りの近所の小さな公園に行った。昨年の10月に作られたばかりの新しい公園である。 適当に遊ばせてベンチに座っていたら、おや、ベンチの背板にメッセージプレートが埋め込まれているのを発見。このベンチは寄付されたもので、どうやら…

階段のへりを掴め

授業終わりに学生達に頼んで、階段をおりるところをビデオ撮影した。 階段を下りるとき、爪先が階段のへりからはみ出していることとは普通は意識されない。我々は目で一段したの段差の見当をつけながら、階段のへりを掴みながら歩いているのだ。これは注意し…

見知らぬ人にお願いする、という行為

先日、子供を連れて行った藤子F不二雄ミュージアムの屋上にて。 アニメでおなじみの土管の前でドラえもんと記念撮影するための列が伸びているのだが、みんな後ろの見知らぬ人にカメラを渡してシャッター押すのをお願いしている。誰かに頼まれて自分がまずや…

廃棄物専門スーパーWeFoodでの顧客体験を考えた話

先週のこと、世界初の廃棄物専門スーパーマーケットwefoodが大学の近くにオープンした。いわゆる賞味期限間近のものを格安で仕入れるディスカウントストアとは違って、「廃棄物」扱いになった品物を提携先から寄付してもらって売る、という世界初の試みらし…

銃撃テロから一年

コペンハーゲン市中央図書館の向かいにあるユダヤ礼拝堂にて。2月14日は、連続銃撃テロから一周した日。どのくらい関連があったのかはわからないけど、ここでも同日に銃撃事件があり、犯人が死亡している。たくさんの花が捧げられていた。 賑やかな通りもす…

遠い遠い出口

中央駅近くに行った際に,受刑者たちによるカフェ,CafeExitを再び訪問してみた. 昨年の秋に一回訪問したものの,ちゃんと話聞けなかったことが心残りだったのだ. kmhr.hatenablog.com ここはカフェでありながらコーヒー無料だ.見るからにカタギではない…

「ズレ」をデザインする

バスや電車の座席付近で展開されているDet er go stil(それがクール)というシリーズが面白い. 上のステッカーには,「ペットを乗せるのは歓迎だけど,床に座らせるかバッグの中にいれてくださいね」と書いてある.文章はわかるが,なぜピクトグラムが恐竜な…

真冬に楽しく過ごせる快適な空間:ロスキレ図書館にて

日曜日に,家族でコペンハーゲン近郊にあるロスキレという街を訪問してきた.ロスキレは人口5万人ぐらいの街でコペンハーゲン中央駅から特急で20分ぐらい.15世紀まではデンマークの都だったそうで,世界遺産のロスキレ大聖堂にはデンマークの歴代の王様達…

日常風景に魅入る体験

DTUに行く途中にてくてくとLynbyの街を歩いていたら,ある民家の前で足がとまった. 窓枠と庭木のグリーン,壁と茅葺き屋根の上の雪のスノーホワイト.と色彩を揃えつつも,枯れた蔓を窓の周囲にデコレーションしてアクセントにしている.冷たい空気の中で太…

仮囲いを楽しくするPart2

「仮囲いを楽しくする」の第2弾. オフィスに行く途中に経由するメトロのDR Byen駅は開発途中で大規模な工事中なのだけど,不思議な仮囲いが目に留まった.iPhoneで撮影してみた. 風に反応するオプティカルな仮囲いというのは面白い.単純な仕掛けなのに,…

図書館の意味を再考した日

英国の大学院に留学中のS先生がコペンハーゲンに来られて,いくつかの図書館を一緒に回る機会が有った.僕自身,普段週に1回ぐらいはどこかの図書館を利用してるが,基本的にオフィスだとだらけがちな午後に執筆に気分転換して集中するための利用なので.あ…

日本語喫茶に行く

瀬川君にお願いして,コペンハーゲン大の日本語喫茶(KU Japanstudier Café)に連れて行ってもらってきた.コペンハーゲン大のAmagerキャンパスはとても近くてITUとほぼ同じ敷地にあるので,僕のオフィスとこの会場はいくつか建物を移動するぐらいの距離なの…

もの作りカルチャーとしてのクリスマス

12月の時期のクリスマスマーケットは,ベルリンも華やかだったが.コペンハーゲンも負けてない.街のあちこちに小さなお店が建ち並び,みんな楽しそうに買い物している.日本に居るときは「みんな浮かれやがって」と思っていたけど.ヨーロッパのみなさんは…

偽ヒュッゲ・エクスペリエンス

先日王立図書館を訪れた際に,テレビモニタに暖炉の火を映像として映して,擬似的な暖炉(のようなもの)を設置してあるのが目に留まった.この前にイスを持ってきて本当に暖をとるかのようにくつろいで座っているお年寄りも居たが,例え映像であってもゆら…