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みえないものを、みる視点。

2023年の終わりに

(鹿児島県阿久根新港脇の浜ん小浦にて 2023年10月29日) __ そういえば毎年の終わりにはまとめを書いていたのをすっかり忘れていた(ギリギリセーフ)。 2023年は鹿児島県阿久根市でのフィールドワークが2回できて、元気な学生たちと調査活動できたことは…

デザインリサーチトリップin鹿児島県阿久根市

2023年6月29日〜7月2日、上平研究室の学生たちと鹿児島県阿久根市に滞在してきた。ちょっと時間取れず遅くなったけども、現地で経験したこと、考えたことをまとめておきたい。 ■きっかけ打診があったのは2022年の夏頃。来年度の市の事業として、以前青果市場…

2022年の終わりに

(熊本県水俣市にて/2022年9月29日) いつのまにか2022年も終わり、ということで恒例の年度まとめ。今年はだんだん対面活動や調査出張も再開できて、こころなしか体感速度が早くなった気がする。コロナ禍ももうすぐ丸3年。この様子だと、この先もずっと感染…

遠い約束を果たす

休暇をもらってしばらく鹿児島に滞在してきました。 故郷の阿久根市には50歳になった年に、母校の小学校の運動会に参加して子どもたちとリレー競走するという独特の行事があります。昭和26年に始まり、なんと今年で69回目。もちろん自分たちの子供の頃にも当…

講演録:『モア・ザン・ヒューマンの視点からデザインを疑う』

6月25日(土)、26日(日)に、第69回日本デザイン学会春季発表大会が開催されました。僕の所属する情報デザイン研究部会では「人間中心ではないデザイン」というテーマセッションが企画され、そのセッションの冒頭で領域を概観するような基調講演を担当する…

南点―南日本新聞連載コラムのバックナンバー

2022年の頭から南日本新聞文化面でコラムを隔週連載していました。おかげさまで半年間無事に連載終わりました。著者に限って紙面なら複製して良いと許諾をいただいたので、全部掲載しています。 __ ■vol.1 紙面掲載日1/5「新聞を配っていた頃」/ 南日本新…

2021年の終わりに

恒例の年末のまとめ。 やっぱり2021年もあっという間だった。コロナも徐々におさまり、そろそろ日常に戻っていくか・・・と思いきや、なかなか想定どおりにはいかないものだ。でもクリスマス前後の繁華街の人混みを見ると、あの人流で毎日数十人の感染だけで…

「道具をつくる道具」を、活かすお手本を見た

「無料データをそのまま3Dプリント 作業に出会える道具カタログ/事例集」の 書評を書きましたので、転載します。とてもいい本でした。 ____ 林園子氏・濱中直樹氏による「無料データをそのまま3Dプリント 作業に出会える道具カタログ/事例集」(三輪書…

態度リサーチvol.8 / 個人のプレイヤーが個を超えたチームで戦うことについて、サッカー研究者に聞く

態度リサーチ#8を更新しました。今回のテーマは、「個人のプレイヤーが個を超えたチームで戦うことについて、サッカー研究者に聞く」。 先日開催された東京オリンピック2020の男子サッカー競技はスペインに敗退しましたが、試合後のインタビューである選手が…

カードゲーム「甘えん坊ど」のクラウドファンディングがスタート!

昨年度上平プロジェクト(2020)の学生たちがクラウドファンディングに挑戦しています。「甘えん坊ど」というカードゲームを自分たちでデザインしたので、それを印刷してたくさんの人に使ってもらおうとするものです。学生たちはゼロ地点から、1年以上かけて…

態度リサーチ#7 / 音楽療法と言わないミュージックファシリテーターに、介護の場で音楽を活かすことについて聞く

音楽は、現在形で味わうだけでなく、遠い過去の自分と接続して内的な変化を起こしたり、共にいる他者と接続して心を共振させたりする不思議な力を持ちます。しかし、その音楽を"療法(セラピー)"として用いる場合、治癒する/される、それぞれの側に分断的な…

「フィールド演習」:新しい学びの実験を始めました

今年から、新カリキュラム3年生向けの新しい演習「フィールド演習」をはじめている。われわれは長年、学生起案型のプロジェクト演習を続けてきたけれども、それに安住することなく、時代の動きに合わせたもうひとつ先を展望した新しい学びを作っていこうとい…

須永剛司 ✕ 上野学 特別対談「現象学とデザイン」

5/27(木)の夜、若手のみなさんが集まる読書会のメンバーを母体にしたオンラインイベントを企画しました。情報デザインの第一人者の須永剛司先生(元東京芸大教授)とオブジェクト指向UIデザインを理論化し、常に一貫した鋭い言説で知られるデザインコンサル…

PodCast 態度リサーチ#6 / 心地よくない地で感じる心地よさについて、南極観測隊員に聞く

態度リサーチVol.6を更新。人類の多くは都市部にすみ、人工的に快適な住環境を形成しようとしてきました。その一方で「いま自分がここで生きている」という実存の感覚は、厳しい自然環境の中の方が強く湧き上がるのかもしれません。地球上においてもっとも過…

13年前にパイロットから聞いた、機械と人間の関係の話。

自動運転のことを調べていて、昔聞いたことを思い出したのでweb archiveから救出。 たしか妻の実家の周辺の方々とバーベキューしたときのことだ。もう13年前か。 ______________ パイロットから聞いた、機械と人間の関係の話。 May 5, 2008 11:06 PM kamihira…

PodCast:態度リサーチ#0〜#11をまとめて聴く

上平が試験的にお送りするPodCastです。何かをデザインする際には、知識や技術だけでなく、ものごとにどう向き合うかの、"態度"の側面も重要です。しかし、態度とはいったい何なのか、分かるようでなかなかつかみどころがありません。そこで、デザインとは一…

『三人称を超えて 」ー デザイン概念の輪郭をさぐる試み

経済産業省主催で、地域版高度デザイン人材調査研究の一環として、4回連続のオンラインイベントが開催されました。 3/4には、この第4回イベント 事例からひも解く!地域と共創するデザイン人材とは?vol.4「これからの地域デザインの在り方」 というタイトル…

未収録テキストの供養

本年度のフィールドミュージアム展の成果冊子を作っている。 その中のコンテンツのひとつ、「学生たちの活動記録」には履修していた学生たちの毎週のつぶやきや演習後のふりかえりを抜粋して掲載していた。 こんなかんじ。A5横。 が、数ページしか掲載スペー…

ものごとに向き合う「態度」について聞くPodCastシリーズ開始!

最近、研究のアウトリーチ(公開や普及の活動)として表題の新しい取り組みをはじめました。その背景を書いてみます。 _ 最近、デザインを学ぶ場が増えています。そこで専門家でなくても、(否が応でも)デザインについて語り、指導することを求められる場…

2021年、あけましておめでとうございます

新年、あけましておめでとうございます。 毎年恒例の活動まとめを書きそびれてしまった。昨年度はじわじわと精神を削られるような日々が続いたが、まだまだ続くんだろう。さきほど初詣にいって世界が平穏に成ることを祈ってきた。大学ではここのところの感染…

【コ・デザイン執筆裏話#1】秘技・文末ゆらし!日本語を書く際の不思議なテクニック

執筆を通してたくさんのことを学んだので、何回かにわけて執筆の裏話を書いていこうと思う。 ____ いまふりかえって真っ先に思い出すのは、文体や漢字/ひらがなのひらき方によってニュアンスが変わる、日本語ライティングの面白さである。僕自身はこのブ…

単著『コ・デザイン―デザインすることをみんなの手に』を上梓しました

12/21に、NTT出版から『コ・デザイン―デザインすることをみんなの手に』を上梓しました。3月頃にはほぼ書き終えたものの、いろいろあって時間が経ってしまいましたが、お陰様でなんとか無事に書店で販売されています。 "コ・デザイン"とは耳慣れない言葉だと…

「コンヴィヴィアル」の言葉の意味

未だ影響を持つイヴァン・イリイチの名著、「コンヴィヴィアリティのための道具」(1973)が出版され、もうすぐ50年経とうとしている。イリイチの思想はなかなか読み解くのが難しく、多くの人は、彼のいう「コンヴィヴィアリティ」や日本語訳された「自立共…

【高校生向け/教育者向け】オンラインワークショップ参加者募集

上平研究室主催で、12/26(土)にオンラインのワークショップを企画しております。珍しい2層式です。ご関心をお持ちの方、是非ご参加ください。 _______ 1)高校生向けデザインワークショップ―「文字のカタチの博物学:日常の文字からデザインの”細胞”…

Ethnography Lab, Osaka 特別セミナー Designs for the Pluriverse を巡って:デザイン、人類学、未来をめぐる座談会

こんなセミナーに登壇することになりましたので、お知らせ。 ___________ デザインと人類学の関係は近年ますます接近しています。そこで、大阪大学・人類学研究室と Ethnography Labでは、デザイン人類学をテーマとする座談会を企画しました。 20…

よみうりランドからオンライン授業に挑戦

10月16 日(金)。朝からよみうりランドに行く。ちなみに僕の職場からはかなり近くて、道路が空いていれば車で10分ほど。 午前中は秋らしく、とてもいい天気だ。夏には多くの人でごったがえしていたプールには誰もいないが、きれいな水が張られている。 さて…

デザインを「存在論的」に捉えるとは

最近、デザインと人類学の両側から構成されているような「デザイン人類学」の議論が海外の研究界隈で活発に起こっている。近年起こった人類学の存在論的転回の潮流の影響だと僕は解釈しているが、なかでも重要なポイントとなるのが、この「存在論」という言…

【オンライン授業】先生が顔を出す必要は、どこまであるのか?

オンライン授業でよく議論になることに、「先生の顔は出したほうがいいのか、出さなくてもいいのか」がある。学生にアンケートで聞いてみても、「顔があったほうがいい気がするけど、別にどっちでもいい」という答えが多いようだ。教員の側も自分の顔を積極…

【オンライン授業】一斉送信と少人数ダイアローグを両立させる試み

後期授業が始まった。結局コロナ禍はおさまることなく、後期も演習科目以外はオンラインということになる。僕は演習科目多いので週に3つは対面授業があるのだが、これがまたなかなか辛い・・・。学生が楽しそうにしているのは何より嬉しいけども、みんな顔覆…

【ベネッセ連載】親もいっしょに創意工夫してみよう

ベネッセの連載9月分が掲載されました。8月に書いたものですが、前回のプログラミング教育の記事が長くなったので2つに分割したもので、具体的な事例を中心に家庭でできることを紹介しています。今回はツッコミどころ少なめ。 benesse.jp 記事中で触れている…